法律のいろは

他の家に養子にいった方は,実の親の相続人になるのでしょうか?

2017年10月30日 更新 

 養子縁組は様々な理由で行われるところですが,養子縁組をした場合に,元の親の相続人となるのかどうか・元の親族との関係で将来の相続がどうなるのかは気になるところですね。実際はどうなのでしょうか?

 

 結論を言えば,原則として相続人となります。これは,養子縁組をした場合でも,実の親との法律上の親子関係は残るためです。養子縁組をすると他の家の人間になるという感覚があるかもしれません。この感覚が古い感覚かどうかはおくとしても,養子縁組をしても実の親子関係などの法律上の親族関係は原則として残りますから,相続人にも当然になります。そうなると,養子縁組をして養子になった方は養親と実親の双方の相続人になる資格を持っていることになります。別のコラムで触れました扶養義務は養親と実親とどちらが優先するのかという問題(養親の方が優先します)はありますが,法律上の親子関係自体は残っています。

 子供ということになりますので,実親・養親(養子縁組により法律上の親子関係が発生している範囲のみなので,養親の配偶者については当然には法律上の親子関係はありません)双方に対して,遺留分を有することにもなります。

 

 例外はあります。それは,特別養子と呼ばれるものです。特別養子においては,実の親との法律上の親子関係を終了させて,養親とのみ法律上の親子関係を生じさせるところに一つの特徴があります。実際には,ここでも例外(簡単に言えば配偶者の連れ子を特別養子縁組で養子にする場合)があるのですが,相当に細かな話になりますので省略をしておきます。また,近親婚の制限など一部の制約は残ったままにはなります。つまり,原則として,実親に関する相続人から養子は外れることになります。

 特別養子に関しては,法律の改正が行われ養子になる方の年齢が引き上げられています。これは,令和2年4月以降に養子縁組が問題になったケースに適用され(それ以前から問題となっていて家庭裁判所での手続きが行われているものは改正前の規定によります)ます。原則6歳(例外8歳)までであったものが,原則15歳まで(15歳になっている場合には子供の同意が必要)となります。これは年長の子供について利用がしにくいという問題があったためです。改正点は,現在すべてを一つの家庭裁判所での審判のみとしている点を,2段階での審判へと移行させるというものです。特別養子縁組の詳細と改正の詳細については別のコラムで触れます。

 

 ちなみに,養子縁組をした場合に,養親や養親の親族と法律上の親子関係は養子の子供(養子縁組前に生まれた子供)との間には当然には生じません。そのため,こうした子供は養親に関する代襲相続を含めた相続人にはなりえません。もちろん,養子が相続したものを相続することはあります。ただし,養子縁組後に生まれた子供は相続人となります。この場合には法律上の親子関係が生じるためです。わかりにくい話ですが,時期により異なってきます。

 

 こうしたこともあり,遺言がないケースで,相続開始後に長く遺産分割協議を行わずにいた場合では,状況によっては遺産分割協議を何かしらの理由で行おうとした際には複雑になる可能性はあります。養子先との親族関係・実方の親族関係が複雑に絡み合うことも場合によってはありうるためです。養子縁組が生じた場合には,別のコラムでも触れま被相続人が亡くなる直前に養子縁組をしていたケースを含め,複雑な問題が生じる可能性もあります(ここでは養子縁組が無効かも問題となります)。

 

 

 

 

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