法律のいろは

「空き家」になっている実家をそのままにしておくことで発生する問題(その⑤)

2017年12月21日 更新 

 「空き家」になっている実家をそのままにしておくことの問題点として,その後の管理や処分に支障が出ることが考えられます。今回は,仮に「空き家」状態になっている実家があって,親御さんがなくなって,かつ住む予定もなく引継ぎをしたくない場合に,どのような対応方法がありうるかを取り上げてみたいと思います。以下の話の前提として,特に遺言がない場合を考えていきます。

 

 まず,引き継ぐ予定がないのであれば,「相続放棄」をするという方法が考えられます。この方法は別のコラムでも触れましたが,一切の財産も借金も引き継がないということで,家庭裁判所での手続きが必要になります。そのため,周りの親族に単に引き継がないと伝えても「相続放棄」にはなりません。また,親御さんがお亡くなりになり相続が開始したことを知ってから3か月以内に手続きを行う必要があります。他の大きなポイントとして,この手続きを使う場合は他の財産は引き継ぎたいという場合には向かない(すべての財産を引き継がないことを意味するため)点には注意が必要でしょう。他の親族と話をつける必要がなく,ご自身だけの判断で手続きをとることができる点があります。

 

 次に,「遺産分割」をするという方法があります。この方法は親族の間で話し合いなどを行い誰が・どの財産を引き継ぐのかなどを決めていくことになります。先ほどの「相続放棄」とは異なり,家庭裁判所での手続きも必要ありませんし,いつまでにしないといけないという期間の縛りも存在しません。とはいえ,誰も住む予定もなく,管理も避けたいと考えている家の場合でかつほかに財産もほぼないようなケースでは,話がつかない可能性もあります。そもそも,遺産を保有しておく意味があるのかという意味が大きなケース(もちろん,肩身の品など個人的な思い入れの話は除きます)ともいえるでしょう。こうした場合には,「相続放棄」の場合がいいこともありうるでしょう。

 

 「遺産分割」を行う方法としては次のものも考えられます。家の修理や取り壊しをすれば土地の活用がありうるといった場合には,売却を行うという方法も考えられます。売却して得たお金を相続人で分けるという方法になります。この方法は相続人全員が「空き家」を必要としない場合に遺産分割を行う方法としてはこうしたやり方もありえます。ただし,土地の活用も考えられない場合には,この方法は難しくなります。その場合には,先ほど触れましたような「相続放棄」の方法がいい場合がありえます。

 

 こうした対応方法がとれない場合には,後で管理等の負担が出てきて大変ということにもなりかねません。予めどうしておくかを決めておくことが重要になってくると思われます。

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