法律のいろは

持病や障害を持つ子供のために財産を残し管理をきちんとしたい場合に対応方法

2018年3月31日 更新 

 表題のタイトルの状況では,どのようにしていいのかが大きく問題になってきます。子供に財産を移す(生前贈与)をしてその財産の管理をどうするのかという方法もありえますし,自分の財産の管理を子供のために行うという形をとっていくなどの方法がありえます。

 

 前者の方法では税金面の問題もありますし,財産の管理の方法をどういう形で行うかという問題もあります。状況にもよりますが,法定後見制度・任意後見制度という,それぞれ裁判所や契約によって財産の管理などを行ってもらうという方法もありえます。この場合には,子供のすべての財産の管理等をその方に行ってもらうことになります。特定の財産の管理をという場合には,信託という方法を使うこともありえます。

 

 後者の方法では,信託という方法を使うことが考えられます。ことに,親であるご自身の財産と区別しておく必要がある場合(これは,特に親御さんが商売をしていて,借金や保証人の負担によってその財産をとられてしまいかねない場合)には大きな意味を持ちます。そもそも,信託という方法自体分かりにくいところですが,簡単にいえば,ある財産を他の方(ご自身でも現在では可能です)に管理をしてもらい,ある方に管理の利益を渡す(ご自身でもいいですし,別の方でも構いません)ということができます。先ほどの話では,障害や病気を持つ子供に運用の利益を渡すために,ご自身の財産を管理するということができます。お金や土地建物の運用収益を利益とするということが考えられます。

 たとえご自身の財産をご自身で管理をするという形であっても,こうした目的で他の財産と区別されたものは,他の財産とは別個の扱いを受けます。その扱いの中には,ご自身の借金や保証人としての支払い責任の支払いに充てなくてもよくなる(逆に言えば,信託契約に伴う負担として充ててはいけない)というものがあります。専門用語で倒産隔離機能と呼ばれるものですが,こうしたものによって,ご自身の財産の中にありながら,特別な目的にために役立てることが可能になります。

 

 こうした方法をとるには,どのような目的で管理をするのかを考えたうえで,誰が管理者・誰が利益を得る方か,管理者がなくなった際にはだれが管理者となるのかをきっちりと契約で決めておく必要があります。先ほどのケースではとりあえずは親が管理者になりますから,親がなくなった後の管理を誰が行うかは重要な話です。

 また,法律上家族でもないいわゆるプロの方が管理者になるのはできませんので,親族が管理をする(先ほどのケースでは親が管理をする))ことになります。親以外の親族が管理をする場合には,管理がおろそかになる可能性もありますので,そもそも管理者が適切に管理するかどうかという点は大きな問題となってきます。こうした問題をどう考えていくのかも重要な話です。

 

 このように,スキームはいくつかありますが,問題点その他(これはここでは触れていませんが税金の話もあります)を踏まえてよく考えていく必要があるでしょう。

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