法律のいろは

借りている物件の修理を大家がしてくれない場合の対応はどうすればいいでしょうか?

2018年4月8日 更新 

 家やテナント用として,建物のスペース・部屋等を借りることはあるのではないかと思われます。こうした場合に,契約で何かしらの合意がない限りは大家(貸主)側が,借りている物件の修理義務を負うことになります。ただし,借りている側が壊したもの等は話が別です。

 こうした修理が必要になった際に大家(貸主)が対応をしてくれない場合に,借りている側はどうすればいいのでしょうか?

 

 まず考えうることは,大家(貸主)側に修理をしてもらうよう話をすることでしょう。この際に,契約で修理義務を借主側が負うとされている場合には,その有効性などが問題になります。こうした項目がない場合には,大家(貸主)が修理をしてくれれば問題はありません。しない場合には,修理を求めて裁判をすることも考えられますが,一般には貸主が修理をしたうえで,その費用や損害を請求するのが多いのではないかと思われます。早く実際に修理されないと借主側が借りている物件をきちんと使えないままであるという不都合が続くためです。

 こうした場合に,かかった費用については,修理に必要な費用といえる限りは請求ができるのが通常です。ただし,修理が必要であったことは証拠で残しておかないとトラブルの元ですから,写真で保存しておく(特に借りた時点でどのような状況であったかは写真でとっておけば問題は少なくなります)ことはした方がいいでしょう。また,実際に修理箇所に対応した費用(費用がかけすぎである)という点が問題になる可能性もありますので,その辺もこうした手段によって対応することができます。

 

 一般の住宅用であれば,修理がされないことで大きな不利益があれば損害賠償の請求の可能性もありますが,多くは慰謝料でしょうし,そうした点をしっかりと示し立証していくのはそれなりに高いハードルがあります。これに対して,テナント用で借りている場合には,修理が必要な状況の程度によっては営業もできなくなる可能性があります。そうした場合に営業できないことで被った被害の請求が認められるのかという問題が出てきます。

 修理をする義務を大家側(貸主)が怠ったことで通常生じるレベルの損害と特に修理をしないことで大家側が予測できた損害といえるかという話になります。後者については,売り上げなどは大家側が当然にわかるものではありませんし,先ほど触れたように借主側でも修理ができます。また,他の個所で営業するなどの対応をすることができます。破損など修理が必要な状況から見て,こうした対応が普通はなされるだろう時期以降の営業損害は修理をしないことで通常は生じる損害とも言いにくくなります。実際に,裁判例の中ではカラオケ店のために物件を借りていて,破損による修理がなされないことで営業ができずその分の損害が生じていたケースで,借主側が通常他の店舗などでの営業など対応をとれたといえるだろう時期(この時期自体はケースごとで異なってきます)以降の損害は請求をできないとしたものがあります。

 

 こうした点が問題になるのは,物件が使えなければ家賃も支払わないという場合に,こうした費用や損害賠償金との差し引き(相殺)をする場合等かと思われます。実際にこうしたケースでどのような対応をした方がいいのかは,よく注意をした方がいいでしょう。

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