法律のいろは

民法改正で「成年」が変更されることでの影響は?

2018年4月28日 更新 

 現在,国会で「成年」を変更することが審議されています。様々なニュースで国会審議の状況が現在報道されていますが,法改正で「成年」が変更されることになった場合にどのような影響がありうるのか等を簡単に触れていきたいと思います。

 

 まず,ここでいう「成年」とは,20歳未満の者が原則当てはまるとされ,主に結婚をいつの時点から自分の判断だけでできるのか・契約をした際にどこまで判断が十分できないものとして守られるのかという話と関わってきます。既に法律改正のされた投票をいつからできるのかという話とは別のものですし,刑事事件を起こした場合の扱いとは違います。また,今回の法律改正がされたとしても,飲酒や喫煙が20歳から許容される(改正によって,「成年」から「20歳以上」と変更される見通しです)点は変わりません。また,養子をとることも20歳に達しないとできないのはこれまでと同様です。

 

 これまで未成年(20歳未満)であった場合には,結婚は男性18歳以上・女性16歳以上からできるものの,親権者の同意が必要とされてきました。改正により,男女とも18歳から自らの判断で法律上はできるようになる見通しです。これに伴い,同意は不要となり,契約関係での特例はなくなりました。また,未成年の方が契約をした場合には,親権者の同意なく行われれば原則として取り消しができます。ここでの取り消しとは,取り消すという意思を契約の相手に示すことで,その契約がなかったことになるという意味です。取り消せない場合には,たとえば,代金の支払いをしないといけなくなることがあるなど,取り消せるかどうかは重要な意味を持ってきます。ここで例外となるのは,実際には「成人」でないにもかかわらず,「成人」であると偽って契約した場合だけですので,未成年かどうかは大きな意味合いを持ちます。

 特に18歳から20歳の間は一人暮らしなど生活環境が変わる一方で,様々な取引に触れる機会が出てくることから消費者被害が増えるのではないかという懸念が存在します。不安をあおって契約につなげる・人間関係を利用して断れないように仕向けて契約につなげるような場合です。こうしたこともあって,民法の改正とともに,消費者が契約の取り消しを図るパターンを増やす法律の改正案(消費者契約法の改正案)も提出されています。そこでは,先ほど触れたような「社会生活での経験が不十分なことを利用した契約」に対して取り消しができるようにすると定められていますが,これで十分なのかどうかは議論のあるところです。

 ちなみに,消費者契約法の改正案では,不安をあおって契約につなげることや恋愛関係等の人間関係を利用しての契約締結の場合でも契約を取り消せるようにする・都合のいいことを言って不利益なことを告げずに契約につなげる場合に取り消せる場合を拡大すること等が盛り込まれています。その後改正され,令和4年4月1日以降はこの内容での規制が設けられています。

 

 若年層でも消費者被害の相談もありますし,就職・進学をして親元を離れたお子様がいる方にとっても注目すべきところと思われます。

 

 以上に追加してこれまで成人までの優遇と定めていた制度が20歳までから18歳までと変更されたもの・20歳以上とされていたものが18歳以上に令和4年4月1日以降は変更されています。例えば,相続税の税額控除(税金負担を安くする要因)のうちの未成年者が相続人であった場合の未成年者控除は18歳までの1年ごとに10万円ずつ負担を軽減するように変更されています。また,同じく税務関係のうち,相続税や贈与税の猶予免除制度の適用を受ける贈与などを受ける側の年齢はこれまで20歳以上であったものが18歳以上となるなどの変更です。

 上で触れたように,成人年齢の引き下げは有効に契約やお金の管理ができるようになる半面,主に消費者保護の観点から問題になっているものと思われます。実際の影響は相続に関連する制度にも一部及んでいます。

 

 

 

 

 

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