法律のいろは

借りる予定の部屋で「ペット」を飼育したいのですが,何か注意点はあるのでしょうか?

2018年6月29日 更新 

 「ペットの飼育禁止」と賃貸借の契約にかかれている物件も多く存在する一方,最近は「ペットの飼育は可能」と物件案内や広告などにかかれている物件も存在します。このように,ペットの飼育を可能にするかどうか・可能な物件を借りる際の注意点を触れておきます。

 

 まず,「ペット飼育禁止」の内容が賃貸借契約書にかかれている場合でも,ペットを飼育していた場合にはどうなるのかという話です。大家さんが直接管理をしていない物件では,ペットの飼育を借りている人がいるかは近くの部屋の人が知っているケースが多く,鳴き声などで管理会社や大家さんへの苦情として問題になるケースがあります。そうした苦情に大家さんや管理会社が対応するかどうかはケースによりますが,少なくとも,個別の賃貸借契約で「ペットの飼育禁止」にしているから,直ちに大家さん側に違反している方を退去させる義務まではありません。

 たたし,大家さん側としては契約違反ではありますし,においや鳴き声などの問題などを考慮して違反を是正してほしいという話を違反している方に求めてくる可能性はあります。ここでは動物愛護の話は考慮しませんが,当初契約で禁止されている事項の是正が難しい場合には,契約継続が難しいという話になり,契約解除と退去のリスクが出てきます。ペットをどうしても買いたい場合には,こうした項目が契約内容にない物件を選んだ方がいいでしょう。

 ちなみに,仲介会社の方などが契約する際に特別に大丈夫と言われた場合でも,話は基本的には変わりません。というのも,仲介会社(不動産会社)の方は貸主ではありませんから,契約内容を決めることはできないためです。そのため,そうした話が出た際には大家さんに確認をしてもらい,後でいった言わないの話にならないようにしておくよう注意をしておいた方がいいでしょう。

 

 次に,「ペットの飼育は可能」とされている物件では先ほどの話は問題にはならないでしょう。ただし,部屋を退去する際の原状回復でペットがいたことによるキズやにおい等がトラブルにならないように注意をしておく必要があります。また,「補修金」等特に退去の際にお金が引かれることが契約で定められている場合には,それは何かという点の注意をしておいた方がいいでしょう。実際に部屋にキズをつけた等の場合には修理は必要で敷金から支出することはありえます。ところが,そうした事情もなく特に部屋ににおいや汚れがない場合に,そうしたお金をさしひけるのかは大きな問題となってきます。

 ペットの飼育を可能としている物件の中には,ペット飼育を受け入れる対価として家賃を高めに設定している可能性もあります。特にそうした物件では,ある程度汚れなどのリスクを引き受けているということで,先ほど述べたお金を差し引けるかは問題が大きくなります。実際,裁判例の中には,こうした名目のお金を退去時に差し引くことを違法と判断した(つまり,敷金と同じ性質のものと捉えて,実際に原状回復する必要がない場合の差し引きはできない)ものがあります。

 退去時にトラブルが起きることはありえますが,借りる際にそうした問題が起きないように確認をするなど対応をしておいた方がいいでしょう。

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