法律のいろは

婚姻費用・養育費と面会交流

2014年10月18日 更新 

近時、面会交流の申立てが増加してきていることは、以前にも触れましたが、この面会交流と婚姻費用・養育費の主張が絡んで主張されることがあります。

つまり、子どもとの面会交流を認めてくれるのであれば、婚姻費用・養育費の支払いをする、といったものや、離婚時に子どもとの面会交流を決めたのに、会わせてくれないので、養育費は払わないというケースです。

これまでもお話ししたように、とくに養育費の支払いは、親が子どもに対して負っている扶養義務から、負担すべきとされているものであり、収入がある以上、それに応じて支払義務があります。これと、子どもと養育していない親と会うこととは直接関係しません。むしろ、面会交流にあたっては子どもへの影響を考慮しなければならないので、別物として切り離して考えるべきです。

ですから、養育費の支払いについては子どもが生活をしていく上で必要なものと、支払義務者には納得してもらい、支払はしてもらった上で、面会交流の調停・審判(通常はよほど相手方が面会交流に応じる可能性が低いというケースでない限り、審判申立をしても調停からになるでしょう)の中で調整を図ることになります。

また、既に面会交流の調停で一定の条件の下、合意が成立したにもかかわらず、面会に応じない場合でも同様です。ただ、この場合は既に子どもをみている側も納得をしたうえで話合いにより成立しているのですから、場合によっては調停内容の実現のため、間接強制ができるほど内容が定まっていれば、その申立をしたり、難しければ再度面会交流の調停を申し立てて、その中で調整をする必要がでてくるでしょう。

なお、婚姻費用の裁判例には、面会交流の実施がなされていないことを理由に、婚姻費用の減額を求める義務者に対し、面会交流の実施の可否・方法は別途その申立によって心理されるべきで、何も定まっていない状況では特に考慮すべきではない、としたものがあります。これによれば、面会交流について定まっているのに実施されていないときには婚姻費用の減額の一要素になりうるように読めます。しかし、先に述べたように、面会交流と養育費・あるいはこれも含む婚姻費用の支払とは切り離して考えるべきものなので、減額の一要素とみうるとするのは適切ではないでしょう。

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