法律のいろは

人が写っている画像や映像を投稿することに問題はあるのでしょうか(その①)?

2013年8月4日 更新 

 ブログやフェイスブックなどインターネット上に撮影した写真や動画を投稿する方は結構おられるのではないでしょうか?その中には食事や風景,建物などのほかに人が写っている場合もあるのではないかと思われます。

 写真や動画に人が写っている場合に,その写真や動画をその人の許諾なく載せることは問題がないのでしょうか?

 

 答えとしては,問題になる場合はあるということになります。では,どのような場合に問題が出てくるのでしょうか?それを考えるには,どこが問題点かを考える必要があります。問題となるのは,人をみだりに撮影することが肖像権やプライバシーの権利を侵害するからと考えられています。

 問題は,どういったところが撮影されていれば,こうした権利が侵害されるかです。移っている人がそれなりの大きさがあって・ボカシが入っていない等のために,誰が写っているのか判別できるような場合には,肖像権の侵害が十分考えられます。

 こういった程度に人が写っていなければ,肖像権侵害の可能性は小さくなります。肖像権を侵害した場合には,損害賠償責任を負う可能性が出てきます。それでは,常に損害賠償責任を負わないといけないのでしょうか?(法律上は,不法行為責任はこうした場合に常に発生するのかどうかという問題です)。

 

 この問題については参考となる最高裁の裁判例があります。問題となったケースは話題になった刑事事件の被告人の方が裁判所での裁判手続きで在廷している姿を写真で撮影した等の行為が肖像権侵害・名誉棄損になるのかが争われたものです。実際には撮影された写真は全国的な雑誌に掲載されました。

 この裁判例では,撮影する側の撮影する権利と撮影される側の肖像権の双方が権利として存在するため,調整するという考え方を取っています。そのうえで,

 ①撮影される方の社会的地位  ②撮影された方の活動内容  ③撮影された場所

 ④撮影の目的  ⑤撮影の態様  ⑥撮影の必要性

 等の様々な事情を考えたうえで,肖像権が侵害されることが社会的に見てやむを得ないかを判断すると述べています。

 

 色々とかかれていますが,簡単に言うと,誰か判別できる程度に個人の姿を撮影するのは肖像権の侵害だけれども,色々な事情を考えて社会的に見て侵害は仕方ないと言えるか考えるという考え方です。

 色々な事情を天秤にかけるので分かりにくい考え方ではありますが,柔軟に判断できるメリットもあるところです。

 

 長くなりましたので,次回に続きます。

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