ブログやフェイスブックなどインターネット上に撮影した写真や動画を投稿する際に,写真や動画に人が写っている場合に,その写真や動画をその人の許諾なく載せることは問題となる場合があることに触れました。今回はその続きです。
前回,移っている人が判別できる(誰か分かる)程度に移っていた場合には肖像権やプライバシーの権利の侵害にあたりうることを話しました。そのうえで,最高裁の裁判例に照らして,こうした場合に損害賠償の支払い義務を常に負うのかという点について,途中まで触れました。
復習を兼ねていえば,色々な事情を総合的に考慮して考えていくと述べています。色々な事情の例として
①撮影される方の社会的地位 ②撮影された方の活動内容 ③撮影された場所
④撮影の目的 ⑤撮影の態様 ⑥撮影の必要性
等があることをあげています。そのうえで,肖像権が侵害されることが社会的に見てやむを得ないかがポイントであると述べています。
ちなみに,前回も触れましたが,この裁判例では,著名な刑事裁判の裁判所での手続きを隠し撮りした写真を全国的に発売される週刊誌に載せたこと・週刊誌の記事にはこの写真のほかに刑事裁判で被告人が腰縄と手錠をつけられていることをわざわざ指摘する記載がありました。
少し話が脱線しますが,こうした話について損害賠償請求の訴訟が申し立てられたのちに,その週刊誌ではイラスト絵ならどうなのかということでイラスト絵とともに,文章が書き加えられたという話の流れがあります。このイラスト絵と文章についても,肖像権侵害と名誉棄損を理由として損害賠償請求の訴訟が起こされ,最高裁では写真の件とともに判断されています。
写真を週刊誌の記事に掲載した件については,次のように判決では述べられています。
①~④について⇒著名な刑事事件を裁判所での手続きの際の被告人の動静を伝える点は正
当である。
ただし,裁判所での刑事裁判は一般の人も見ることができる状態だけれ
ども,写真撮影がされることを予想できる状況下ではなかった
⑤について⇒裁判所での写真撮影は裁判官の許可が必要だけれども,隠し撮りをしている
やり方は不当
⑥について⇒腰縄と手錠をつけられている被告人の様子をわざわざ投稿する必要はない
ということを述べて,結論としては社会的に見てやむを得ないとは言えないとして損害賠償の支払いを週刊誌の発行元に命じています。
少し長くなりましたので,次回に続きます。
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