法律のいろは

人が写っている画像や映像を投稿することに問題はあるのでしょうか(その④)?

2013年8月8日 更新 

 写真や動画に人が写っている場合に,その写真や動画をその人の許諾なくインターネット上に投稿することに問題があるのかという話についての続きです。

 

 前回までの話で,誰が写っているのか判別できる写真の投稿には肖像権やプライバシーの権利の侵害がありえることに触れました。また,裁判例に照らして,どういった場合に損害賠償の支払いをしないといけないのか・損害賠償の金額がどうなるのかという話について触れました。今回は,損害賠償の金額についての続きからです。

 

 損害賠償の金額はそこまで高額化しないのではないかという話を前回までしました。とはいっても,肖像権やプライバシーの権利の侵害の程度が大きい等の事情があれば,損害の高額化の可能性はあります。

 たとえば,写真がコピーされて大量に出回ったり,出回ったうえに被写体の方に対する非難の投稿が殺到した場合等が考えられます。コピーの中で誰でも閲覧や書き込みのできるインターネットの掲示板に書き込まれて,被写体の方への非難が殺到した場合等は損害はかなり高額化するのではないでしょうか?

 これまでの話は,前回まで取り上げた裁判例を念頭に写真を前提としてきましたけど,動画投稿でも基本的には同じように考えることになります。

 

 ちなみに,前回まで取り上げた裁判例では,イラストの話がありました。裁判例では,イラストは写真とは違い,被写体の人のありのままを写すのではなく,イラストを描いた方の主観が混じる点に着目しています。そのうえで,法廷での被告人(被写体の人)の様子をイラストで描いて雑誌に載せるのはおかしいことではないと判断し,社会的に見てやむを得ない範囲としています。

 つまり,写真と同じように損害賠償を支払う場合はあるけれども,写真とは違った点があるというものです。判断で,法廷での様子をイラストでかくのかおかしくないとしているのは,おそらく,写真と異なり許可を要するものではなく,写真撮影が困難な中伝達手段としてイラストで伝えるのが一般化していたという点を考慮したものと思われます。

 

 インターネット上に投稿すれば,たとえ少人数が見ることが前提のSNSであっても,広まる可能性はありますので,写真や動画の撮影の際には気を付けたいところですね。

 

 

 

 

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