法律のいろは

裁判離婚について(その⑯)

2014年4月11日 更新 

 以前、離婚調停についてお話しをしたときに、相手方が行方不明の場合には調停ができないかどうかについてお話しをしました。

「配偶者の生死が3年以上明らかでないとき」であれば、離婚理由として法律上定められていますから、通常調停を先行しなければならないとされている離婚でも、いきなり離婚裁判を行うことができます。

 ちなみに、この「生死が3年以上」というのは、単に所在不明では足りず、最後に生存が確認されてから生死が明らかでない状態が3年以上継続していることが必要とされています。

 しかし、そこまでではない場合(しばしばご相談で伺うことがありますが、大抵相手方がいなくなってから1カ月か数か月くらいしか経っていないことが多いように思います)、まずは相手方が来ないかもしれないが、一旦離婚調停の申立てをし、相手方が来ないときは不成立、という手続きを経て、離婚裁判という流れになります。

 

 離婚裁判になった場合も、民事裁判と同じように「公示送達」という手続きを取ります。「公示送達」というのは、裁判所書記官が相手方の送る書面を保管しているので、いつでもその書類をお渡ししますという内容が書かれた書面を裁判所の掲示板に貼って行います。裁判所の掲示板に紙が貼られているのを見かけられたことがおありではないかと思います。

 この公示送達で行えるケースというのには条件がいくつかあり、その一つとして、当事者の住所・居所その他送達場所が分からないとき、というのがあります。生死不明でどこにいるのか分からないとき、というのがまさにその場合にあたります。

 人事訴訟の場合には、判決により、身分関係・家族関係に変更が生じるという効果があることから、通常の民事裁判以上に、本当にこの、相手方の居場所がわからないと言えるかが調査されます。

 ですから、相手方の両親や子どもなどをたどり、相手方の居場所、所在を知らないかどうか、裁判所から手紙を送付し、その回答からも居場所などが分からないときに、初めて公示送達によることになります。

 なので、第1回の期日が決まるまでの調査で数か月かかることもあります。

 公示送達されると、掲示を始めて2週間を経過してその内容が相手に届いたと扱うことになります。

 その後の手続きの流れとしては、第1回の裁判で原告本人が今回裁判を起こすに至った経緯を聞き、(通常相手方は不出頭と思われます)そのまま判決になることが多いです。事情によっては原告本人の話を聞くことなく、判決という場合もあるのかもしれません。

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