法律のいろは

父親は,子供の親権者になることはできないのでしょうか?

2017年3月1日 更新 

 夫婦が離婚でもめている場合に,譲れない点として出てくるのはお子様の親権者に誰がなるのかという問題が重大なものの一つとして出てくるように思われます。現在,日本では離婚後は一人しか親権者になれませんので,大きな問題となりがちなように思われます。よく,「父親は親権者となるには不利だ」という話がありますが,実際にはどうなのでしょうか?

 

 結論から言えば,統計上はそのような傾向にあります。ただし,仮に家庭裁判所の手続きになった際に,当然に「父親だから不利だ」というわけではない点に注意は必要でしょう。未成年の子供の親権者を決める際の考慮要素(これまでの裁判などの実務で考えられてきたもの)に関しては,以前別のコラムで触れました。

 もう一度簡単に触れますと ①以前子供の面倒を見ていたのは誰か ②子供とそれぞれの親の結びつき ③現在の監護状態

              ④監護体制と能力 ⑤面会交流への許容性 ⑥違法な連れ去りがあったかどうか等 

 等が考慮されています。①~⑥は大きな考慮要素と考えられていることで,子供にとってどちらの親元での養育がよりふさわしいかという話が考慮されるとされています。

 

 ここからすると,夫が主に働いていて世話を妻任せにしていたケースでは,主に面倒を見ていたのは妻ということになる傾向にはあるでしょう。子供を連れて別居(このこと自体の当否はさしあたり置いておきます)して妻が家を出た場合には,現在の養育を妻側がしているケースは当然多くなります。現在の養育状態に特別問題がない場合には,そこから大きく環境を変える必要性は相当薄くなるため,現在の養育状況と態勢は当然重要になってきます。

 このようなところからは,統計上父親が親権者になるケースが少ない点の一つの要因といえるかもしれません。

 

 子供の親権者を主張する場合には,これまでの監護実績については言い分に食い違いがある場合が夫婦双方にある可能性は十分あります。あくまでも,以前の監護実績は子供のためのより良い態勢を作ってしっかりと育てていけるということを示す一つの要素ですから,こうした点をしっかり示すことが重要になってくるでしょう。

 

 あくまでも,子供の親権者に関係する点が「勝ち負け」の話ではない点にも注意が必要でしょう。ここにこだわることで,感情的な対立が大きくなる可能性がありますので,あくまでも将来的なお子様のためには何がいいのかを語れるようにした方が説得力を持ってくるように思われます。

 ちなみに,たとえば,妻が不貞・不倫をしたから親権者として不適格になるかと直ちに言えば,そこは結び付きません。不貞・不倫をすることで,子育てが相当おろそかになったことやその相手の子供に対する態度によっては,親権者として不適格ではないかという話にはつながる可能性があります。ただし,あくまでも具体的な事情があっての話になります。もちろん,実際に沿うかどうかという事実面で争いが生じることもあるでしょう。

 

 このように,世の中でいわれていることには正しい面とそうではない点があること・何を目指し,そのためには何が必要かという点の把握は重要なことになると考えられます。

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