法律のいろは

夫(男性)側から離婚を切り出す際に問題になりそうな事柄(その④)

2017年3月9日 更新 

 前回までは,比較的若い層(主に40歳代)くらいまでの方で男性側(夫側)が離婚を切り出す際の問題になりそうなことを触れてきました。前回は特に住宅ローン付きの家の話をしてきましたが,負債をどうするかは場合によっては借金の整理と並行して話を考えなくてはいけなくなる可能性もある極めて大きくかつ重たい問題になりかねない点には注意が必要でしょう。

 

 今回は,中高年の層で男性側(夫側)から離婚を切り出す際に問題になるそうなことを触れてみたいと思います。同様な事柄も問題になりますが,子供が成人に達している方が多い・住宅ローン自体は返済の終わりに近い方が多い・勤めの方は定年退職が迫っている(退職した)方も増えるため,将来の生活をどうするかの問題が出てくる等の点も出てくる点には特徴があります。

 

 もちろん,相手方に積極的な離婚をする気持ちがない場合には,同居の期間が長いケースが多い・小さな積み重ねをどう考えていくのかという点に問題が出てくるように思われます。これは,離婚をすること自体には折り合いがつかない背景が何かという問題になります。妻側が仕事をしていない・収入が少ない等のケースでは,当面の生活をどう維持していくのかということで生活費の支払いを確保してほしいという考えが出る可能性があります。そのためには,離婚後は相手方の生活を支える義務は基本的になくなりますから,離婚までは避けたいという気持ちが出てくるというのが背景として考えられます。

 妻側に十分収入がある場合にはこうしたことはないでしょうし,強く離婚をする気持ちがある場合にもこのような問題は生じないでしょう。ちなみに,世間体その他さまざまな事情が離婚まではしたくないという気持ちの背景にある可能性もありますから,見極めも重要になってくるでしょう。

 

 小さな積み重ねが直ちに夫婦が修復しがたいと法律上評価できるかどうかわからないものの,他方でこれまでのいろいろなことから離婚をしたいという気持ちが起きてくることもありえます。法律上必ずしも破綻の方向へ結びつかない上に長年の同居という事情があれば,そう簡単には破たんという話には至らない可能性は十分にあります。

 これは,以前に触れた話でもありますが,その際にどういった離婚のための条件を出していくのかは,大きな離婚原因と法律上評価される事柄がない(不貞や長年の暴力など)場合には,大きな問題となる可能性があります。どのような状況と見通しなのは,専門家に相談するのも一つの方法でしょう。

 

 同様の事柄や退職金制度のある会社に勤めている場合には,このお金をどのように清算するのか・年金分割の影響も大きな問題となってきかねません。年金分割自体は,誰でもこの制度の適用対象になるわけではありませんが,基本的には按分割合は0.5(半分ずつにならすのが制度の目的)になります。こうした分けること自体を問題としても大きな意味は実際には持ちませんが,長年蓄えてきた厚生年金などの報酬比例部分が対象になりますので,インパクトは大きくなるでしょう。

 退職金の問題は別のコラムでも一応触れましたが,おさらいも兼ねて次回に他の財産清算の問題とともに触れてみたいと思います。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。