法律のいろは

配偶者のいる方との交際が「不貞行為」にならない場合はあるのでしょうか?

2017年7月28日 更新 

 ここ数日報道されている件で,有名人の方が配偶者と交際をしているのではないかという報道が「不貞行為」に当たるのかどうかが問題になっているものがあるようです。当事務所のコラムで以前触れたテーマにはなりますが,まとめを兼ねてどういった話なのかどうかを触れてみたいと思います。

 

 まず,法律上「不貞行為」とされるものは,配偶者のいる方と肉体関係(性行為を伴うもの)をすることで,配偶者の方の「貞操」を守ってもらう権利を侵害することで家庭の平和を乱すために問題となるものです。少しわかりにくいところがありますが,精神的苦痛に対する慰謝料の支払い義務が不貞行為をした側に生じるのは,こうした権利を侵害し家庭の平和を乱すために生じると言えます。

 そのため,「不貞行為」によって夫婦が離婚に至ったという場合には,家庭の平和を著しく壊していますから,慰謝料は高額化する可能性が高まります。もちろん,他の事情にもよりますが,事情によっては相当の高額化に至る可能性もあります。裏返せば,夫婦がやり直しをする場合には家庭の平和の侵害の程度は低くなると評価される可能性もあります。

 

 次に,配偶者のいる方との交際(肉体関係を伴うもの)が「不貞行為」にあたらない場合はあるのかという点について触れます。結論から言えば,ありますがハードルは高くなります。あくまでも家庭内の平和を侵害していたとは言えばない場合⇒夫婦関係が破たんしていた場合,結婚しているとは知りえないかった等の事情があった場合です。夫婦関係が破たんしているかどうかは別居しているかどうかで簡単に決まるものではなく,既に離婚へ向けての具体的な話があった(証拠に残る形で離婚へ向けて条件面を含む話し合い(離婚協議)がなされていた・離婚調停が相当程度進んでいた)等の事情が必要になる傾向が裁判例からは言えるでしょう。

 もちろん別居していることは夫婦関係がうまくいかない指標にはなりますが,破綻という評価を含む話になりますと,どの程度の別居なのか・先ほど触れた離婚へ向けての具体的な話し合い(単に離婚しようかという話が軽く出た程度では不十分です)等の事実関係がどこまでかという話になります。このために,別居後に異性と交際をすることにはリスクが伴う場合があります。交際をしている相手方から離婚をしていると思った等の反論が出る場合もありますが,これも他の事実関係からそう言えるかが問題になってくる点です。

 

 報道されている方のケースが,ここでいう破綻をしている等の事情があったかは定かではありませんが,こうした事情があれば交際をしていても,慰謝料支払い義務がない場合は法的には出てきます。

 

 あくまでも以上述べたのは法律的に見て慰謝料を支払う責任が生じるかどうかということで,道義的なもの(これがどういったものかはその方のお立場によって変わってくる点があるでしょう)とは異なるものです。少なくとも別居をしたから全く異性との交際に問題がないと考えるのは思わぬ落とし穴につながるかもしれません。

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