前回、前々回と、セクハラの被害を受けたけれど、会社内に相談できる窓口がない・あるいは対応を十分してもらえないときに利用できるところとして、都道府県労働局雇用均等室の手続きについて、お話しをしてきました。
今日はその続きで、同じ行政上の紛争解決手続きになりますが、紛争調整委員会のあっせん手続きを取り上げたいと思います。
これは、労働局が従業員と事業主との話合いの場を作ってくれ、専門の相談員(弁護士・大学教授・社会保険労務士などで組織された「紛争調整委員会」から指名された委員)が間に入り、調整を図るというものです。
この利用をしたいときは、最寄の労働局の総合労働相談コーナーなどに相談をします。あっせんを希望する場合、あっせんの申請書がありますので、必要事項を記入して提出をします。
あっせん制度は、裁判と比べると、費用もかからず、手続きが簡単でかつスピーディという点がメリットとして挙げられます。
手続きは非公開で行われるので、特にセクハラのような人に知られたくないような場合でも、プライバシーが保たれます。
進め方としては、あっせん委員がお互いの主張を聞いて、双方から求められればあっせん案を提示することになります。両者でそのあっせん案の受け入れに同意したときは、あっせん案が民法上の和解契約の効力を持つことになります。このあたりは、前回説明をした、調停会議による調停と同じです。
このあっせん手続きを利用したいという申請をしたとしても、事業主がその従業員に解雇その他不利益な扱いをすることは禁止されているので、申請後のことを不安に思わずにすみます。
もっとも、この手続きのデメリットとしては、あっせん開始の通知を受けても、事業主が参加する意思がなければあっせんは実施されないことになる点でしょう。
なお、これとは別に、労働委員会による、「個別労働紛争のあっせん」というのもあります。労働委員会は、公益側の代表(学識経験者など)・労働者側代表(労働組合役員など)、使用者側代表(会社経営者など)で構成されています。主に労働争議の際に活躍する機関です。
ただ、現在ではセクハラのような、事業主と従業員のトラブルについても、都道府県知事から労働委員会にあっせんを委任できるようになったので、労働委員会によってはセクハラもあっせん手続きを利用できる場合があります。
全部の労働委員会で扱ってはいないようですので、利用の際には確認をしてみるとよいでしょう。
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