法律のいろは

熟年離婚の際にポイントとなることとは?(その③)

2013年11月9日 更新 

 前回は、そもそも離婚するかしないかで争いがあるとき、問題になってくることとして離婚原因のお話しをしました。

 今回は、金銭面で問題になりうる、慰謝料について取り上げたいと思います。

 一般的な慰謝料のお話しについては以前触れましたが(離婚と慰謝料の項目参照)、離婚で生じる慰謝料には2種類あり、

 ①離婚を余儀なくされたことの慰謝料

 ②個別の行為に対する慰謝料

があります。

 ②の個別の行為に対する慰謝料は、不貞行為(不倫・浮気)や激しい暴力(DV)がある場合、その行為自体が違法なものといえることへの慰謝料です。これは、熟年離婚かどうかとは関係なく、上記のような行為があれば問題になりうるものです。

 これに対して、①の離婚を余儀なくされたことの慰謝料については、離婚原因が何か、どういう経緯で離婚せざるをえない状況になったのかなどが考慮されます。

 以前にも、別項目(「離婚と慰謝料」)でも触れましたが、考慮されるものとしては具体的に

 ・結婚が破たんに至る経緯

 ・破たん原因に関する夫婦それぞれのこれまでの言動

 ・破たん原因に関する夫婦それぞれの責任の程度

 ・破たんに至るまでの婚姻家庭の生活の状況

 などが挙げられます。

 また、慰謝料の金額を決めるにあたっては、上記の他に

 ・結婚してきた期間

 ・離婚後の再婚可能性

 ・離婚後の経済状況

 ・子どもへの影響の程度(子どもの年齢)

 といった要素などが考慮されることになります。

  このうち、下の4つの項目の中でも「子どもへの影響」は熟年離婚の場合通常成人して既に独立していることが多いでしょうから、さほど問題にならないのではないかと思います。ただ、子どもが大学進学している場合には、学費の問題が出てくるので、養育費との関係で考慮する必要がありえます。

 また、熟年離婚であれば離婚後の再婚可能性はさほど高くないと思われるので(最近はそうでもないかもしれませんが…)、主には「結婚してきた期間」と「離婚後の経済状況」について熟年離婚特有の考慮が必要になってくるでしょう。

  ただ、結婚してきた期間については、長くなればなるほどお互い不平不満が出てくることもあるでしょう。よく離婚原因で挙げられる「性格の不一致」があれば、結婚期間が長くなればなるほど、いわゆる「すれ違い」が積み重なってくるといえます。

 一方で、それでも結婚期間が長く続いていたのであれば、ある程度は我慢できたから何とか続けられた、ともいえるでしょう。そうなると徐々に婚姻破たんに至るような事情が積み重なり、破たんに至ったとしてもさほど慰謝料額が認められない方向になると思われます。

 次回、上記についてもう少し立ち入って検討していきたいと思います。

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