法律のいろは

離婚調停について(その⑲)

2013年11月11日 更新 

○ 親権者をどうするか・財産分与や養育費など金銭面でまとまっていないのですが、早く離婚したいので離婚のみ成立とできますか?(さらにつづいて)

 前回、前々回と離婚については夫婦双方合意しているけれども、親権者を誰にするか・慰謝料、財産分与の額について詰まっていない・養育費の金額について合意ができていない場合についてお話ししました。

 今回はさらにそのつづきです。

・面会交流の条件が決まっていない

 これまでは、離婚調停が成立したとき、慰謝料・財産分与など金額面については調停条項に盛り込む一方、面会交流については細かく条件を定めず、「申立人は、相手方が、○○(未成年の子供)と、月に1回程度面会交流することを認める。その具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉を尊重し、当事者間で協議して定める」とするのが一般的であったように思います。

 しかし、これまでもたびたびお話ししましたように、少子化の影響か、あるいは育児に関心ある男性が増えたからかはっきりしませんが、子どもの親権や面会交流をめぐる紛争が増えてくるようになりました。

 離婚後も子どもをめぐる紛争が続くようですと、面会交流をするにあたり具体的な日程調整が困難になります。また離婚後も子どもと会うことはできるからと思い、不本意ながらも親権を相手に譲ったにもかかわらず、約束が履行されず、全く面会交流ができない場合は、面会交流の調停を起こさざるをえなくなります。

 この点、離婚にあたり面会交流の条件を詰めてある程度具体的に定めておくと、再度面会交流の調停を申し立てる必要はなくなります。

 ただ、面会交流だけ条件が詰まっていないというケースはまれで、多くはどちらが親権者になるか、あるいは養育費の金額をどうするか、といった複数の問題がまとまっていないことの方が多い気はします。

 そうなると、先に述べたように親権者を決めずに離婚することはできません。あるいは養育費の定めをせずに一旦離婚するというのも、出来れば避けた方がよいということになりますので、面会交流についてもそれならある程度条件を詰めた上で離婚した方がのぞましいということになるでしょう。

 これに対してあまり多くはないと思いますが、面会交流の条件のみ詰まっておらず、離婚その他金銭的な条件や親権者の定めは合意できている、というのであれば一旦離婚調停は成立させ、面会交流については場合によって家庭裁判所の調査官の調査や、試行的な面会交流を経て話合いか、難しければ審判で決めてもらうのも一つだと思います。

 面会交流については、特に子供の成長に合わせ、交流の仕方が変わってくるといえます。当初予定していなかったが、宿泊付の面会交流もしたいというように、一度決めた面会交流の条件を修正・変更したりする必要も出てきます。ですから、そういった場合にも対応できるよう、最初に述べたケースのように、「子の福祉を尊重し、当事者間で協議して定める」とするか、そのたびに調停や審判で条件を修正していくかということになります。

 ですから、面会交流については、他の離婚をするにあたって詰めなければならない条件と異なり、かならずしも離婚時にきちんと決める必要はないと思いますが、今後子どもを巡る紛争が生じそうであれば詰めて決めておき、あとで修正していくか、話合いで柔軟に対応する余地を設けておくか、ケースバイケースでの対応になるでしょう。

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