法律のいろは

離婚と財産分与(その29)

2013年11月14日 更新 

 離婚と財産分与に関して,前回は2分の1という清算割合ではおかしいと主張する際に,具体的な特別の貢献となる事情を資料と共に準備しておくこと・時系列で整理した方がいい等ということを述べました。今回は,その続きです。

 

 繰り返しになりますが,離婚の際(若しくは離婚後2年以内)での財産分与は,結婚してから夫婦で築いた財産を清算することが中心となります。清算する際には,基本的には半分ずつ(2分の1)となります。清算されない財産は特有財産と呼ばれ,夫婦それぞれが個別に贈与や相続で取得したものが主なものです。こうした点は以前も触れましたが,簡単に復讐のため,述べておきます。

 半分ずつ(2分の1)ではない特別な貢献があるという場合には,その貢献がどこに対してあったかを考えるには2つの考え方があります。

 ①プラスの財産とマイナスの財産を差し引き計算して,夫婦で築いた財産全体について,貢献度に応じて清算する方法

 ②個別の財産ごとに貢献度を考えて清算する方法

 

 ①は,たとえば,夫婦で築いた財産が2000万円・借金が1000万円の場合に,2000万円ー1000万円=1000万円を貢献度(夫6割・妻4割と考えるだけの事情がある場合)に,夫600万円・妻400万円を取り分として生産することになります。

 やや分かりにくいのが②です。例を挙げて考えてみます。自宅の購入額が5000万円で,夫が相続した財産から2000万円を頭金として負担し,残りを住宅ローンとした場合を例としてみます。単純化するために,細かな費用は考えずに,結婚している間に住宅ローンを繰り上げ返済したとします。離婚時の自宅の評価額を4000万円とします。

 この場合に,夫の貢献度を考えて,清算する額を4000万円-2000万円=2000万円とします。ここで差し引きした2000万円は他の財産と共に半分ずつ(2分の1)の清算となります。特別な貢献である2000万円はそのまま夫の取り分と考えていきます。ここでは,自宅購入額の4割を夫が特有財産で負担していることを大きく見て,負担額を額面で特別な貢献部分⇒夫の取り分と考えています。そのため,残りが原則通り半分ずつ(2分の1)での清算としています。なお,これはあくまでも一つの考え方です。

 ②の考え方は,多くの不動産があって,それぞれに夫婦それぞれの実家からの援助や相続で得たお金を購入に用いていた場合に取られることが多いです。

 

 このように,特別な貢献をどう考えるのかも複雑なところがあります。次回に続きます。

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