法律のいろは

不倫・不貞と慰謝料請求(その⑯)

2013年12月2日 更新 

 不倫・不貞と慰謝料請求に関して,前回は請求する際の話と請求を受けた場合の話に関して触れました。今回はその続きです。

 前回,不倫・不貞の慰謝料請求を受けた側が,不倫・不貞の相手方に対して,負担を求められるかという話を触れました。前回,請求には全額応じざるを得ないけれども,その後責任に応じて不倫・不貞の相手方に負担を求めることができるという話をしました。

 実際のところ,負担を求めるかどうかは,おかれた状況によって変わってくるかもしれません。不倫・不貞をされたとして慰謝料請求をする側が,配偶者である不倫・不貞の相手方とは婚姻関係を元通りにすることを前提に慰謝料を配偶者以外に対してだけ請求してくるケースがあります。この場合は,負担を後で求めることでお金が請求を受けた側⇒請求をした側=配偶者(不倫・不貞の相手方)⇒(一部だけだけれども)請求を受けた側,へと循環するのは煩雑ですし,問題がずっと続く可能性があります。

 こうしたことがあるから,お金の負担を配偶者である不倫・不貞の相手方に,慰謝料請求を受けた側が求めないことを前提に話をつけることもありうるところです。

 

 これに対して,離婚を前提に不倫・不貞に関与した双方にお金を請求してくる場合には,負担をどうするのか慰謝料請求を受けた側の間でシビアに問題になるケースもあります。

 

 非常に厄介なのは,いわゆるダブル不倫(配偶者のいる二人が不倫・不貞をしている場合」です。この場合には,不倫・不貞をされた双方の配偶者が,不倫・不貞をした側に慰謝料請求をできます。その反面,慰謝料請求を受けた者の配偶者が離婚する意思がないのであれば,一方的に慰謝料の負担をしにといけないのはおかしいと負担を求めてくることがあり得ます。

 こうなってくると,お金の流れは先ほどあげたケースよりも非常に煩雑になります。慰謝料請求を受けた側⇒慰謝料請求をした側=配偶者(不倫・不貞の相手)⇒(一部だけ)慰謝料請求を受けた側,というお金の流れが二重に存在することになるので,トータルで見れば,それほどお金の動きがないのに,お金がよく動く上に慰謝料請求や負担を相互に求める大きなエネルギー負担をしないといけないことつながりかねません。

 男女トラブルには感情的な不満がつきものではありますが,こうした現実的な負担と得られるものを秤にかけて行動することも重要なのかもしれませんね。

 

 次回に続きます。

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