法律のいろは

熟年離婚の際にポイントとなることとは?(その⑨)

2013年12月20日 更新 

 前回は、特に熟年離婚の場合、大きく問題になりうる財産分与のうち、とくに住宅がらみでお話ししました。今回も、財産分与について考えていきます。

 熟年離婚となると、給与所得者の場合問題になってくるのが退職金についてです。前にお話ししたように、20年以上の婚姻期間ある夫婦が離婚する場合を熟年離婚、とみると退職までさほど期間がない、あるいは既に退職したというケースが多いのではないでしょうか。

 財産分与と退職金については既に別項目(「離婚と財産分与」、とくにその⑧参照)で詳しくお話ししていますが、今回は復習を兼ねて改めて見ていきたいと思います。

 すでに夫が退職をし、退職金を受け取っている場合には、別居時に残っている退職金額を基準に考えていくことになります。ですから、退職金が出てほどなく別居であれば、退職金の額ほぼそのままが財産分与の対象になりえますが、すでに退職金が出て年月を経ている場合には、別居時に目減りしている可能性が高いため、財産分与の対象になる額も小さくなる可能性があります。

 ですから、夫が退職金を受け取ってしまうと費消してしまう可能性が高い場合、保全手続き(仮差押え)をしておく必要もあるでしょう。

 また、そもそも夫が給与をはじめとする収入の管理をしていて、妻は退職金がいくら出ているのかすら分からないというケースもあると思います。

 その場合は、夫が勤めていた会社に弁護士会を通じて照会する方法や、すでに裁判になっているのであれば、裁判所を通して調査を求める(「調査嘱託」)方法が考えられます(なお、調停段階でも家庭裁判所より雇い主などの必要な報告を求めることができるという規定がありますが、実際のところ余り活用されているのを見たことはありません)。

 あるいは、退職金が出ていれば夫名義の口座に相当額が入金されているでしょうから、夫に預金口座の取引履歴の開示を求めるとよいでしょう。もし夫が応じない場合には、弁護士会を通じての照会だと、守秘義務との関係で名義人である夫の同意書を求められる可能性が高いことから、夫の協力を得ることが困難なときは取り付けが難しいでしょう。裁判であれば、裁判所を通じての文書送付嘱託・調査嘱託による方が取り寄せをしやすいと思います。

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