法律のいろは

協議離婚について(その⑨)

2013年12月24日 更新 

 協議離婚の際に,決めた内容が守られない場合はどうするのかという話は気になるところです。協議離婚の場合は,離婚届を役所に提出して,離婚を成立させるほかに予め協議離婚書に夫婦お互いが署名して,約束事を取り決めることがあります。今回は,その取り決めについて触れていきます。

 

 取り決めのうち,離婚することと未成年の子供の親権については,離婚届を出すまではともかくとして提出することで決まる話ですので,その後守られないという話はありません。主にあるのは,財産分与や慰謝料,養育費といったお金の話や子供との面会交流の話ということになります。

 このうち,将来的な話である養育費を除けば,その他のお金の話は離婚前に支払いを澄ますということも考えられます。仮に,離婚後も支払が続くとしても,多くの場合は性質上長期間続く養育費に比べれば,支払の期間は短くなる傾向にあります。当然,支払いがないということで問題となるのは養育費の話が多くなるのではないかと思われます。

 お金の話については,取り決めをする際に公正証書を作っておく(通常,支払わない場合には強制執行に服します,という文言が入れられます)ことである程度解決できます。こうした公正証書を作っておくと,裁判をすることなく相手の財産(支払う義務を負った側)の財産を差し押さえることができます。通常,単なる取決めだけでは差押えはできません。裁判所から判決等をもらう必要が出てくるのです。

 特に気になるのは,支払義務を負う側が会社勤めをしている場合ですが,この場合は給料からの差押えを考えることもあるかと思われます。月給制を例にとると,通常は毎月の給料の1/4までしか差押が出来なません。これに対して,養育費の不払いがある場合には,毎月の給料の1/2まで差し押さえをすることができます。

 このためか,公正証書を作っておいたら,養育費の不払いが将来生じたとしても安心という話を聞きます。しかし,注意すべき点があります。それは差押をする場合には,差押をする側(差し押さえ命令の申立てを裁判所にする側)が差押えの対象をはっきりさせないといけないということです。給料の例で言えば,支払義務を負う側が会社を辞めて転職した場合には,転職先を探す必要が出てきます。自営業などの場合を含めて,預金を差し押さえるには,どこの預金かをはっきりさせる必要があります。預金はどこまではっきりさせる必要があるのかは支店レベルまで必要かどうかという点で難しい問題があります。

 

 次回に続きます。

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