法律のいろは

離婚裁判での財産分与を求める場合の注意点

2014年1月21日 更新 

 離婚の際あるいは2年後以内に財産分与を求めることができるという話はこれまで何度かしてきました。片方が離婚していないけれども他方が反対したために,話合いがつかず,離婚裁判になることは時々あるケースです。こういった場合に,離婚はしたくないけれども,念のため財産文分与を求めておくことは可能でしょうか?

 

 法律上,こうしたいざ離婚が認められた場合に備えての財産分与を求めることは可能とされています。かつて,最高裁判決(いわゆる不貞を行った配偶者の側から離婚を求めた例)の中で,一部裁判官が財産分与で財産を分ける側からの財産分与の主張をすることはありうるという意見が示されたことがありました。ただ,現実には,わざわざ財産をあげるということを言って裁判を起こす方は少ないでしょうし,そもそもこうした意見自体に対する消極的な見方も強いところです。ですから,財産を分けてもらえる立場なら,財産分与を念のため求めるという考えもあるかもしれません。

 ただし,注意すべきは,財産分与はあくまでも離婚することが前提であるという点です。絶対離婚したくないからということで,離婚裁判で徹底的に争う方向を見せつつ,それとは矛盾した離婚を前提とした行動をすることは,離婚が認められても仕方ないと思っていると裁判所から思われるリスクはあります。こうしたリスクも考えながら,財産分与の主張をするかどうか,離婚を争う場合には考える必要があります。

 ちなみに,以前触れましたが,同じ離婚裁判の手続きで相手に離婚を求める反訴手続きは,積極的に離婚を求めています。ですから,離婚を争いながらこの方法を取った場合には,離婚を実は望んでいるとすら思われる可能性がありますので,注意が必要です。

 

 離婚裁判では第1審が行われる家庭裁判所で決着がつかなかった場合には,高等裁判所で審理されることになります。第1審で財産分与を求めていなかったのに,高等裁判所で求められるかどうかは問題となるところです。というのも,裁判で財産分与はそもそも争われていなかったからです。この問題に関しては,求められることになります。ですから,第1審で財産分与を求めていなかったけれども,求めたい側は控訴(第1審判決への不服申し立て)をして財産分与を求めることができます。ちなみに,和解(話合い解決)がなされた場合は,解決した以上不服申し立てはできません。

 

 今回は,離婚裁判での財産分与を求めることの注意点を触れました。

 

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