法律のいろは

残業代とは何でしょうか(その⑧)

2014年2月27日 更新 

 久しぶりにこのテーマを触れるのですが,以前触れていたのとは全く別に最近出た最高裁の裁判例にまつわる話を触れたいと思います。

 

 法律上定まっている労働時間よりも多く働いた場合には,給料を割り増しで払う必要があります。一日8時間・週40時間というのがその時間です(深夜残業の話はとりあえずおいておきます)。ただし,「事業場外」で働いていて,どのくらいの時間働いたのかが把握し難い場合には,その例外と言える話が出てきます。実際に働いた時間に関係なく,原則として所定労働時間働いたと扱ってよいという話です。

 よく残業代請求の裁判で,こうした事情に当てはまるから残業代が出ないのではないかという話が問題になると言われています。これには正しい面と間違いがある面があります。間違いがある面としては,従事している仕事の性質上所定労働時間では終わらない場合には,その仕事に通常必要な時間働いた扱いにするという点が一つです。つまり,9時間かかる仕事であれば9時間働いた扱いにするわけですから,1時間は必ず残業代が発生することになります。

 また,休日働いた場合には,当然休日仕事の残業代(割増賃金)が出てきますが,この部分は所定労働時間働いたと扱っても当然変わりません。

 

 会社側は従業員がどのくらい働いたのかを把握する義務があります。例外的にこうしたことが難しい場合にその義務が免除されるというのが,こういった話の意味合いです。

 

 最近裁判例も問題となったケースでは,①事業場外で働いているのか,という点よりも主に②仕事が労働時間が算定し難いケースにあたるのかが問題になりました。先ほどの話が当てはまるには,①と②を両方満たす必要があるからです。

 

 分かりにくいので,こういった場合に当てはまる可能性がある例を挙げてみます。よく挙げられるのは外回りの営業マンです。とはいえ,外回りの営業マンが①と②を両方満たすかというと話は簡単ではありません。むしろ,満たしにくいのではないかという印象さえあるところです。

 

 まず,①は一体どういうことなのでしょうか?単に屋外で働けば,事業場外かというとそんなことはありません。たとえば,工事現場で働く人を考えてみます。たしかに外で働いてはいますが,普通監督の指示のもと働いていますね。こういった場合は,事業場外とは考えません。あくまでも,一つの働く場で従業員の管理が一体で行われている範囲であれば,事業場内ということができます。そのため,一つの場所で管理されている工事現場で働く人は事業場内で働いていることになります。

 外回りであれば,そうは言えなくなってきますから,事業場外ということができます。ならば,外回りの人は②を満たすかが次の問題になります。この点は次回に触れます。

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