法律のいろは

未収金(売掛金や貸金等)はいつまでも請求できるのでしょうか(消滅時効その④)?

2014年3月26日 更新 

 これまで何度か消滅時効の話をしてきました。支払いをもめられるときから,一定の期間が経過して対抗措置を取らなければ,折角のお金が請求できなくなるかもしれない(厳密には,請求しても法律的には認められないかもしれない)というものです。せっかく仕事をしたりお金を課したりしたのに,お金の請求が法律的にできなくなってはどうしようもありません。

 対抗措置としては,主に次の三つということはその③で触れました。

 ①広い意味での裁判上の請求(簡単に言えば訴える事ですが,厳密にはいくつか種類があります)

 ②差押え(仮差押え・仮処分)

 ③承認

 

 このうち,③については前回(その③)で触れました。今回は,①について触れます。上にもあるように,簡単に言えば裁判所に訴えることです。この訴える手段も厳密には複数あります。裁判を起こすことの他に支払い督促や調停等の申立をするというのもあります。支払い督促って何?という馴染みのないものです。

 支払い督促とは,金銭等の支払いを求める側(債権者)からの金銭等の支払いを求める申立てにもとづき,支払いを求められた側に支払いをするよう督促する簡易裁判所の裁判所書記官の処分を言います。これでも十分分かり難いですが,裁判所に申し立てをするけれども,裁判官が判断するのではなく,裁判所書記官という裁判所の職員が支払うよう命じることになります。

 そのため,ふつうイメージする裁判所への申立とは異なります。裁判官が判断していないので,支払うよう求められた側が異議をだせば,裁判で争うことになります。注意が必要なのは,支払い督促が裁判所書記官から出されて一定の期間内(支払いを求められた側に支払い督促が送達されてから)に異議を出さないと仮執行宣言というのが付けられてしまいます。この仮執行宣言というのが付けられると,異議を出しても,強制執行(簡単に言えば差押など)がされてしまいかねない恐れが出てきます。

 簡単に言えば,支払い督促は,異議を早く出されなければ,迅速・簡単に強制執行(差し押さえなど)をすることができるという特徴があります。そのため,架空請求を行う際に支払い督促の申し立てを行うという方法がとられたことすらありました。ですから,「支払い督促」が裁判所から届いたら,身の覚えがあるか・争えるのかどうかを早めに見極める必要が出てきます。

 こうした方法でも,時効期間をリセットする(たとえば,時効には10年必要ですでに6年たっていても問題なく支払い督促の申立が行われれば,一から事項に必要な期間がスタートすることになります)ことができます。もっとも,却下されるような場合にはそうはなりません。

 

 長くなりましたので,次回に続きます。

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