法律のいろは

借りた(貸した家)の明け渡しの際のトラブル(その①)

2014年4月7日 更新 

 新年度に入りましたが,少し前の3月は転勤や進学等で引越しの多かった時期ではなかったかと思われます。家も持ち家や賃貸等人さまざまですが,借りた家に住んでいる(人に家を貸している)方もそれなりにはいるのではないでしょうか?家を借りる(貸す)場合には,色々とトラブルが起きる可能性がありますけど,今回から何回か,家の明け渡しの際に起きる可能性のあるトラブルについて触れていきます。

 

 その中でも,「原状回復」についてのトラブルは多いのではないかと思われます。借りた家を家主に明け渡す際には「原状回復」するようにと書いてある賃貸借の契約書も多いのではないでしょうか?この「原状回復」という言葉,家の賃貸借の場合にはよく聞きますが,その意味するところはどんなものなのでしょうか?

 読んで字のごとく元に戻すという意味ですが,それは完全に借りた(貸した)際の状況にまで戻す必要があるのかは問題となるところです。裁判例上は原則として「通常損耗分」は元に戻さなくてもいいとされています。この「通常損耗分」というのは,契約書で定められた一般の使い方(店舗なら店舗として,住む家なら住む家として)で劣化した部分を指すと大雑把に考えていいかと思われます(厳密には,後で触れる原状回復ガイドラインにかかれている定義をご覧いただいた方がいいでしょう)。もちろん,借りた人が故意あるいは不注意で壊した場合には,今書いた話には含まれません。「通常損耗分」は,減価償却部分として家賃に含まれているから,元に戻す義務は別に出てこないという話です。

 とはいえ,これだけでも,具体的な話は全く見えてきていません。実際にはケースバイケースですから,ものすごく具体的な基準を示すのは難しい話です。とはいっても,何も基準はないと話が抽象的になります。ここで参考となるのが,「原状回復ガイドライン」と呼ばれるものです。

 

 詳しくは国土交通省のホームページを見るとご覧いただけますす。国土交通省等が中心となって定めたものです。最新のものは平成23年8月に改訂が行われたもののようです。

 あくまでも,市場家賃を想定とした民間の賃貸物件を念頭に置いたガイドラインです。ここでは,原状回復を

 ①借主が住む・使うことによって,建物の価値が下がったもののうち

 ②故意や過失・善管注意義務違反(要は人の物を使う上で一般にしないであろう不注意をした場合等)による消耗

 ③②の他にその物件を通常使うことで消耗する部分を超えた消耗(使い方が通常の使いたでないことで生じた消耗)

 を指すと定義しています。

 

 何がこうした場合に当るかですが,次回に続きます。

 

 

 

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