法律のいろは

遺言を書くのに必要な能力とは?(その①)

2014年4月13日 更新 

 最近将来のために遺言を書いておきましょうという話を聞くことやエンデイングノートが本屋で売っているのを見かけることがままあります。以前このコラムで遺言が無効になるかもしれないという話を何回かしました。その中で「遺言能力」をいうものを遺言を残す方が持っていない場合には遺言が無効になるという話をしました。この「遺言能力」とは何を指すのでしょうか?

 

 「遺言能力」はいいかえると,遺言の内容やその意味するところがなんであるかを理解判断する能力と言われています。難しい話なので,簡単な例を挙げてみたいと思います。Aさんが,1000万円の預金と自宅の土地建物を持っていたとします。遺言で見ず知らずの方にそれらの財産をあげる(法律上遺贈とよばれるものです)という内容を和残したとします。ここでの遺言の内容は,見ず知らずの人に全財産をあげるというもので,意味するところは何の対価もなくすべての財産を知らない人の所有にするということです。Aさんがひどい認知症でよく分からずにこうした遺言を残す場合には,当然自らの遺言の内容やその意味を理解できませんし(してもいません),どんな遺言を残すか全く判断できません。ですから,「遺言能力」はないことになります。こういった遺言は無効になるリスクが高いと言えるものです。

 

 どういった点から「遺言能力」があるのかないのかというのが一番重要な話になってきます。今の例からもわかるように,遺言を残す人の健康状態(特に判断能力に影響を与えれ鵜ような病気かどうかなど)や遺言の内容は問題となってきます。先ほどの例のような,全く知らない方に大きな財産をタダであげるということは普通は考えにくいからです。裁判例上は,先ほどのような短銃なケースではなく,実際に認知症等の病気にかかっていた場合は発症後どれくらいの時間がたって遺言が作られたか・遺言についての残す方の意向等も考慮されます。先ほどの例にもあったような,残す人と貰う人との人間関係も一つの要素となります。ケースごとによって考えるべき事情はことなてきます。

 

 そのため,いくつかのケースを念頭に置きながら,実際のところどうなのかを考えていきたいと思います。次回は遺言の内容などについて触れていく予定です。

 

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