法律のいろは

交通事故で車やバイクが壊れた場合は,どうなるのでしょうか?(その①)

2014年5月18日 更新 

 交通事故に遭った際にはケガの問題はもちろんですが,車対車の事故(追突されたような場合)や乗っていたバイクが壊れたような場合に,どうなるのかは気になるところです。修理したいのだから修理代を払ってほしい・買った時のお金を払ってほしい等色々と希望はあるところでしょうけど,実際のところどうなのでしょうか?

 

 まず,修理費について考えていきます。車を修理したいと思った場合に常に修理費を支払ってもらえるものなのでしょうか?たとえば,もう買ってからもう10年も経過して走行距離も1万㎞近い車が事故で結構壊れたとします。今まで乗ってきた車なので,修理して乗りたいと考えています。ところが,買ったときは200万円近くした車も今(事故に遭ったのを前提とはせず,買ってからの期間と走行距離で見積もってもらったものです)は買取業者に見積もってもらうと,20万円程度とのことです。ところが,修理代は40万円近くするそうです。この場合に,修理費はどこまで出るのでしょうか?

 

 特に,新車を買うわけでもなく前の車に乗るのだから,修理代全額出るとお考えの方もいるかもしれません。もちろん,相手がそこまで払ってあげるというのであれば,問題はありません。どこまで支払うのが争いになった場合に,どこまで支払ってもらえるのかがここでの問題となります。

 あくまでも,修理が適正と考えられる場合に,適正な範囲内での価格しか損害賠償の対象にならないのが一般的な考え方です。ここでは,どこまでが適正な範囲内と考えられるのでしょうか?そもそも修理自体が適正と考えられる場合にあたるのでしょうか?事故に遭う前の直近の車の価値が事故で受けた損害となります。ですから,先ほどの例では,20万円となります。修理代の見積もりが40万円という場合は,損害を超えた修理代が発生していることになります。

 損害賠償とは,与えた損害を埋めることを意味しますので,40万円も支払うと賠償しすぎということになります。そのため,この場合は,修理は適正な場合とは言えませんから,20万円を賠償することで車自体の賠償は済んだことになります。

 

 ただし,例外的にこうした場合でも修理代まで認められるケースもあります。裁判例では,同種相当の車を取得することが困難で,その車に被害者が特別の愛着を持っていると言える場合に,修理代まで認めたケースもあります。ただし,相当特殊な場合ですから,先ほどの例のような場合には,基本的には車体価格と考えた方がいいでしょう。

 

 次回に続きます。

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