法律のいろは

生活費(婚姻費用)や養育費の支払いが滞った場合(その⑤)

2014年5月31日 更新 

 以前,婚姻費用や養育費の支払いが滞った場合についてのいくつかの対応方法を触れたときがありました。家庭裁判所の調査官を通じて,支払うように言ってもらう履行勧告・地方裁判所に差し押さえを求める手続き(強制執行)の話を触れました。強制執行は,相手に財産や収入(勤め先が判明している必要あり)があるときには有効性を持つ手段です。

 

 今回は,給料を差し押さえた場合の話を例に,強制執行について簡単に触れたいと思います。裁判所に申し立てをする際には,「債権差押命令」の申し立てをすることになります。色々と書類の準備がいります(公正証書や調停調書,和解調書などが必要となります。また,相手方の勤務先が会社法人であれば,その商業登記簿(法務局で取り寄せる必要があります)も必要となってきます)。こうした書類を揃えて,裁判所から差押命令を出してもらう必要があります。

 ただし,相手との間で強制執行の申し立てをしないことについて約束をしている場合には,後で相手からその点を主張され手争いになることもあります。

 

 注意点は,差押命令が出されて勤務先に到達すると勝手に給料を相手方に払っても,差押禁止の範囲を除いては,差押を央仕立てた側に支払ったということができないことになります。簡単にいえば,給料を全額払っても差押の対象分を払ったといえなくなります(厳密には差押を申し立てた人に対して)。ただし,これだけで当然に,お金が支払われるわけではありません。

 法律上は,婚姻費用や養育費を支払うべき側に差押命令が届いてから1週間たつと,お金をとりたてることができます。ここからもわかるように,お金の取り立てをする必要が出てきます。この方法以外の方法もありますが,単純化のために今回はこの話を触れます。

 

 こうした効果や事実上相手方の勤務先に支払いをしていなかったということが判明してしまうことから打撃が大きくなる可能性があります。この点では,有効な方法の一つですが,反面相手方が退職をしてしまうと新たな勤務先や財産が判明しないと再度強制的な回収が出来なくなるというリスクもあります。

 こういった点もありますので,どういった方法をどのタイミングで使うのかはよく検討した方がいいかもしれませんね。

 

 次回に続きます。

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