法律のいろは

熟年離婚の際にポイントとなることは何でしょうか?(その⑪)

2015年2月2日 更新 

 このテーマでコラムを書くのは久しぶりですが,前回まで財産分与(退職金の問題を中心に)の話をしてきました。今回は,そもそもこうしたことがシビアに問題になることを触れておきたいと思います。

 最近は,女性の就労も進んできたこと等から,女性が離婚によって直ちに生活が全く成り立たなくなることは減ってきたのかもしれません。ただ,これまでパート等の仕事をしていた方からすれば,中高年になって離婚をして今後の生活費を自分で稼がなくなった場合に,生活費をどう稼げばいいのかは極めて重大な問題となります。いかに財産分与を受けていたにしても,その主な形はそれまでに夫婦で築いた財産の清算ですから,一回ある程度のお金が入った後は自分で生活費を何とか確保しないといけないのですから,問題は大きくなります。退職金が財産分与の対象になるかどうかは,以前も触れましたが支払われる蓋然性が高くないといけませんので,退職までの期間や勤務先等の状況も踏まえて,よく注意する必要があります。
 別居の場合には,婚姻費用(生活費)を支払う義務配偶者の間(収入の甥方が少ない方に)が基本的に残るところですが,離婚をするとそうした義務はなくなります。こうした点は注意が必要です。夫婦の関係が悪くなって,改善を目指すために別居をして様子を見るというのは一つの方法です。長い間のすれ違いを距離を置いて見直してみるというのは,やり直しの方法の一つになるかもしれません。ただし,単にこうしたお金の確保のために使われる可能性もありますから,夫婦の関係をどうするのかの見極めは注意が必要ではないかと思われます。

 
 よく言われる主に専業主婦層のデメリットとして,扶養に入っていたメリットを失う(社会保険料を負担する可能性がある)・夫に関する相続人の立場を失う等の点が挙げられます。これが全ての女性に当てはまるわけではありませんが,その後の生活をよく考えながら慎重に判断していく必要はあると思われます。同様に,男性の方についてもお金の面やその他離婚後の生活の面で,生活管理等の難しい点もあると思われますから,熟年離婚に至るかどうかは慎重に考える必要があるように思われます。
 もちろん,これまでの経緯もあって一緒の生活など考えられないから,離婚という形がベストという事も十分ありうるところです。いずれにしても,後悔のない形での進路の選択が重要になってくるでしょう。

 

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