法律のいろは

離婚と養育費(税金関係その②)

2015年2月26日 更新 

 前回,離婚後の養育費と税金の関係について,贈与税の話に関して触れました。同様のことは婚姻費用についてもあてはまるところです。今回は,養育費と扶養控除の話について,ある程度触れていきます。

 まず,養育費を払う側にとって扶養控除の対象になるかについて,触れていきます。簡単な例として,離婚後子供の親権者にならなかった元夫が17歳の子供に養育費を支払っている場合に扶養控除を受けられるかどうかを考えていきます。前提として,扶養控除とは何かという点を簡単に触れておきます。扶養控除とは,税金を払う方の所得税や住民税について,16歳以上の扶養家族がいれば,所得金額から一定額を差し引いて税金額を考えていく制度と簡単にはいえます。この制度を受けるには一定の要件を満たす必要があります。

 ①先ほどの話からも分かるように,16歳以上の子どもがいること
 ②その子供が該当する年の12月31日の時点で,扶養親族と認められること
 
 が必要となります。ここでいう扶養親族といえるには
 ア 納税者と生計を一にしていること  イ 年間所得金額が38万円いかであること
 その他いくつかの要件を満たす必要があります。

 ここで問題となってくるのは,先ほどのアについてです。「生計を一」にしているとは何なのかという事ですが,普通,親権を持たない親なら一緒に暮らしていないのだから,当てはまらないのではという考えも出てくるかもしれません。しかし,一般にはそう考えられてはおらず,離婚後の養育費の支払いが

 あ 扶養をする義務を果たすものとして支払われ   
 い その支払いが,たとえば20歳まで等一定の年齢になるまで等のように行われる場合

 には,「生計を一」にしているものと考えられ,扶養控除を先ほどの例では元夫側も受けることができます。ただし,注意すべき点があります。それは,先ほどの例で元妻側も扶養控除を求めようとしている場合です。元妻側と元夫側の両方が扶養控除を受けることはできない点が注意すべき点です。では,両方が扶養控除を求めようとしている場合には,どちらが扶養控除を受けることができるのかが気になるところです。この点については,国税不服審判所の審決例があるところですので,次回に紹介したいと思います。

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