法律のいろは

秘密証書遺言やその他特別な形式の遺言とは?

2016年3月18日 更新 

 遺言の種類については法律上普通の方式のものと特別の方式のものが定められています。よく言われる自筆証書遺言や公正証書遺言は普通の形式の遺言に含まれます。このほかに秘密証書遺言というものが普通の形式のものになります。特別の方式の遺言とは,危急時遺言(死亡の危険が迫った状況でなされる遺言)・隔絶地遺言(一時交通が遮断された場所でなされた遺言)というものが存在します。

 

 このうち,秘密証書遺言とは,遺言をする方が,①遺言書の内容は秘密にはするが遺言の存在は明らかな形で遺言を行う②作成の過程には公証人も関与する,という遺言です。この遺言をつくる場合には,遺言自体を自筆でなくても代書でも残すことができる・遺言の内容自体は秘密にしたままでおける・遺言の存在は明らかにされるため隠匿などの可能性は低いという点でメリットがあるとされています。実際にはデメリットもあり,活用されている件数は少ないようです。結局は,代筆可能なため,他人に書くのを任せていると,遺言をした方の意図とは外れた遺言になる可能性があるし,結局は外部に漏れる可能性があること・公証人が関与するため結局費用は相応にかかる・形式面の無効になる箇所が多く,無効になる可能性は公正証書遺言に比べて高い,といった点が大きなデメリットになります。

 秘密証書遺言も検認手続きが必要されています(遺言の有効性には影響がありません)。封印をすることが必要とされています。遺言の加除訂正に関する事項など自筆証書遺言の形式面の有効性と同じものが要求されている等,記載の方法を間違えると無効になるリスクは相当程度あります。

 

 次に特別な方式の遺言ですが,危急時遺言というのは,重病やケガなどで式が迫った方が遺言をするケースが想定されています。特別の方式による遺言は緊急時になされる遺言であるため,有効であるためのハードルは低く設定されている反面,普通の方式による遺言(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)ができるようになってから6か月が経過すると失効します。危急時遺言では,証人3人が立ち合い・うち一人に対して遺言内容を伝える(口授)することが必要とされています。伝え聞いた方が書き取りそれを遺言をする方に確認をする。証人の方にも筆記が正確なことを確認して署名押印をしてもらうことが要求されています。ここでの伝え聞きの過程は連続していることが想定されていますが,弁護士が草案を作成し本人が確認をしたケースや証人は遺言者のいない場所で署名押印をしても,内容に改ざんを加えた疑いがないと思われるケースでは有効性に問題がないとされています。

 その後一定の期間内に家庭裁判所に確認してもらうよう申し立てる必要があります。ここでの確認は,一応遺言者の真意に基づくだろうという程度であるとされています。そのため,この確認がされたからといって遺言が有効であるとお墨付きがされるわけではありません。このほか船舶遭難の際の遺言というのも定められています。

 

 隔絶地遺言とは,感染リスクがあるため隔絶された場合と船に乗っている場合が制度として定められています。一定の方の立ち合いが要求されます。口授や聞き取り・証人の確認後の署名押印,その後に家庭裁判所に確認の申し立てをするという点は先ほどの危急時遺言の場合と同じです。

 特別な方式の遺言自体はかなり限られた場面(危急時遺言は可能性としてはありえます)ですので,活用の場面は少ないでしょうが,紹介しておきます。

 

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