法律のいろは

遺留分の意味(その①)

2015年5月4日 更新 

 亡くなられた方の生前の贈与や遺言によって,その方の財産の大半がある方に集中することは結構あるのではないでしょうか?こうした場合に,遺留分減殺請求権(改正により,遺留分侵害請求に変更になっています)を行使するということがインターネットなどの情報に載っているように思われます。今回は,この権利の意味とその関連事項について触れていきたいと思います。

 遺留分というのは,亡くなられた方と一定の近親の関係にある方(子供及び配偶者,親等)に,法律で決められた一定の範囲で財産を確保させ生活を保障しようとする制度です。問題になるのは,多くは子供あるいは孫の方について,一部の方のみほとんど財産を貰えないケースではないかと考えられます。

 たとえば,親が亡くなったケースで,生前贈与と遺言によって全ての財産を一人の子供のみに与えていたケースを考えてみます。この場合,他の子供には何も残されていませんので,遺留分の部分は確保されていないことになります。この場合に,そうした部分を確保するために,遺留分減殺請求権という権利の行使(簡単に言えば,遺留分に該当する部分の財産について権利を主張すること)を行う必要があります。こうした権利の主張は,このケースでは財産を貰っている方に対してする必要があります。権利の主張の仕方は,どのような方法でも構いませんが(電話等でも構いません),後で言った言わないの話にならないように,注意しておく必要があります。

 

 遺留分の減殺請求を行うと,令和元年6月までは遺留分の範囲内で遺産(亡くなった方の財産)が共有の状態になるという規定になっていました。注意すべきなのは,いきなり特定の財産を取得できるわけではないという事です。共有になることの不便・遺言や生前贈与した方の意向を無視する形になる点・遺留分権利者の生活保障を図るならば結局はお金の支払いでの解決(改正前は共有を解消したい側からお金の支払いを行う旨を伝えない限りはお金の支払いでの解決は当然にはできませんでした)の便宜・贈与や遺贈をした財産を売却することでの解決を目指す場合に箱の売却が難しいと結局は遺留分の権利者の生活保障もできないこともあり,改正されました。改正により,遺留分を侵害する金額分のお金の支払いを求める権利となりました。令和元年7月以降に生じた相続について変更となります。

 お金の支払いを求める権利となったことで,遺留分侵害請求(遺留分減殺請求から名称変更)については,侵害請求自体のこれまでの時効期間などの問題のほかに,一度請求をした後のお金の支払いを求める権利についても別途時効期間の問題が生じることになりました。

 遺留分の計算方法の明確化や遺留分侵害になる生前贈与のうち,親族に対する生前贈与に関するk帝が一部変更になっている部分があるなど改正により変更となった点がいくつか存在します。

 

 遺留分に関しては色々と問題等があるところですので,関連する話を含め次回以降に触れていきたいと思います。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。