法律のいろは

不倫・不貞行為にあたる場合と慰謝料や離婚理由にあたらない場合はあるのか?(その②)

2015年5月25日 更新 

 前回は不貞行為にあたる場合についての補足と不貞行為が一回あったからといって直ちに離婚理由になるのか等について触れました。今回は,まず夫婦双方に不倫・不貞行為があった場合の話について触れたいと思います。

 この場合でも双方が離婚をしたいと考えるのであれば,離婚をすること自体は特に問題はありません。慰謝料の支払い義務が生じるの賀谷金額がどうなるのかは別の問題となります。一方の配偶者がそれでも離婚をしたくないと述べた場合には,通常の有責配偶者からの離婚請求と同じく考えていいのかという問題が出てきます。

 この場合には,まず夫婦の関係が破綻に至ったのかどうか(離婚の意思が固く修復の見込みがないのかどうかなど)・仮に破たんがあるのであれば,その破綻に専らの原因があるのはどちらの不貞であるのかを考えていくことになります。同時期に夫婦の双方が不貞・不倫を行っていて離婚に否定的というケースはそこまで考えられないかもしれませんが,時期を異にしてのケースも考えられるところです。この辺は事実関係の整理などが必要になっていますが,現在夫婦の修復が難しくなっているのであれば,その点を専ら引き起こしたのはどちらの不貞・不倫かが大きなポイントとなってくるところです。
 もっとも,双方とも原因を作っているケースも考えられます(不貞の他に暴力等)。この場合には,どちらが主な破たん原因を作り出したかを考えることになります。詳しい裁判例は次回に紹介する予定ですが,離婚を求めた側が有責配偶者であっても,その責任が相手方の方が圧倒的に大きく,その比較からは小さい場合には,離婚が裁判の判決で認められるハードルは低くなります。低くなると言っても,有責配偶者からの離婚請求で相手方に特に責任がないケースと比べての話ですので,ハードル自体は当然存在します。

 以上やや抽象的な記載ですが,実際には事実関係を整理しながら考えていくというケースバイケースの話になります。次回は具体例として,夫婦双方に有責となる要素があった離婚裁判の裁判例を紹介しながら考えていきたいと思います。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。