法律のいろは

一度決まった面会交流が制限されるケースの紹介

2015年6月4日 更新 

 協議離婚や調停離婚等で取り決めた面会交流はもちろん,子供と普段養育監護をしていない親の関係を深くすることでよい関係を築く手段となればベストであることは言うまでもありません。ただ,その後の状況によっては,面会交流に制限が加えられる(一時的にせよ面会交流が全面的に制限される)ようなケースもあり得ます。今回は,そうした裁判例を紹介します。  問題となったケースでは協議離婚後に,面会交流に関する調停が行われ,話がまとまり調停が成立したもののようです。内容は概略,月1回である程度日にちの指定がなされている反面,特別な事情のない限り変更ができないというものでした。その後,会わせてもらっていないという事で履行勧告の申し出がなされ,その調整の間に子供の学校近くで監護していない親が待ち伏せをするなどの事情があったようです。その後,取り決めた日以外の面会交流はやめてほしいという監護親からの申し出があり,再度の面会交流のルールを取り決めたいという調停の申立てにつながりました。  このケースの話はやや複雑なようで,その後も子供の学校への待ち伏せなどが合ったと審判文には記載があります。また,子供の養育監護方針についての介入の有無も問題になったようです。双方の親同士の対立が大きくなる中,監護親が面会交流の一時的な中断の意向を持っているという事情が存在したようです。  このケースについて,第1審は,一般論として一度消えた面会交流でも,決めた後の事情の変更があれば,その事情によっては一時面会交流を止めることもありうる旨をのべ,そのうえでこのケースでの一定期間の面会交流禁止を認めています。理由は色々述べられていますが,親同士の対立が大きく,子の福祉ではない目的の面会交流(子の監護方針への介入などが述べられています)等が理由として挙げられています。第2審でも概ねこうした判断は維持されています。  このように,単に親同士の対立が大きいだけではなく,子供の意向の尊重等子供のためにとって好ましくないだけの事情が具体的に存在して初めて,事後的な面会交流の禁止が一時期でもありうるとの判断に至っています。その意味ではかなり特殊なケースではありますが,子供のための面会交流であるという考えは重要であると考えられます。  
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