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認知症と介護者の責任について(監督者の責任の範囲)の裁判例(その③)

2016年3月4日 更新 

 前回,前々回と先日最高裁で出された認知症の介護者の方の責任に関する裁判例について触れてきました。前回は,第1審特に第2審の判断とそれと異なる最高裁の判断についてある程度触れました。今回はその続きです。

 前回触れましたが,精神障害者の保護者にあたる等の理由では直ちに,監督義務者にはあたらないと判断しています。そのうえで,監督義務を引き受けたような事情が存在すれば,監督義務者と同視して,その違反が問題になると述べられています。

 ここで,監督義務を負うかどうかは様々な事情から判断するとされています。ちなみに,監督義務者と同視された場合には,実際に監督義務を尽くしたかどうかが問題になります。監督義務を尽くしたことの立証をしないといけませんので,同視されるかどうかは大きな問題になってきます。

 監督義務を負う方と同視できるかどうかは,相当昔に精神障害者の方が事件を起こした際に,その両親がそういった場合にあたるかどうかが問題になった裁判例があります(結論としては責任を否定しています)。この裁判例は,問題となった事実関係から,同視はできないと判断しています。

 今回判断された最高裁の判断では,先ほど述べた事前の裁判例と同様の考慮要素をあげています。

 ・問題となった責任能力がないとされる方の生活状況や心身の状況
 ・その方との親族関係があるかどうか,付き合いの親密さの程度
 ・その方と同居しているかどうか,日常的な接触の程度
 ・その方の財産管理の状況やその他その方との関わりの状況
 ・その方の心身の状況及び問題行動の有無やその内容
 ・心身状況や問題行動の中身等に応じて行われてきた監護や介護の実態

 といった要素が明示された上で,その他様々な事情を考慮して,衡平の観点から,監督義務を問われた方に実際に,責任能力がないとされた方の問題とされる行動の責任を負わせるのが相当といえる客観的状況が存在すること,を要求しています。

 結局は,様々な事情の総合考慮をしたうえでの評価という事になりますから,どの要素があれば責任を負い,どの要素がなければ免責されるという簡単なものではないように思われます。こうした事情は,判断からは賠償請求をする側が示していく必要があると考えられます。

 そのうえで,実際に問題となったケースで監督義務を引き受けたと言えるだけの事情があるかの判断をこの後でしています。その点は次回に続きます。

 

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