法律のいろは

年金分割の按分割合が0.5とされないケースはどのようなものでしょうか?

2015年7月12日 更新 

 年金分割の制度には,合意分割と3号分割という形がありますが,按分割合が問題となるのは合意分割の場合です。通常0.5ということで按分されるケースが多いように思われますが,事情によってはそれよりも低いことがありえます。特にご高齢のご夫婦の離婚で年金分割がありうるケース(厚生年金や共済年金等対象は限られています)では,大きくお金に影響を与えることになりかねませんので,大きな問題となってくる可能性のあるところです。

 こうした按分割合が問題となったケースについて,高等裁判所の判断として,年金分割は老後の生活保障の制度であるから,分割の対象となる機関の保険料納付への貢献の割合は原則として0.5ずつ(半分ずつ)とすべきと述べて,按分割合は原則として0.5とすべきと述べるものがあります。問題は,例外が生じる事情はどのようなものかというものです。

 この例外となる事情は,通常按分割合は0.5よりも少ないはずだという言い分を持つ側から出されるものと思われますが,どういった事情なら当たりうるのでしょうか?裁判例の中には,こうした特殊な事情の存在を認めたものがあります。簡潔に紹介しますと,夫婦双方に按分を求められる年金が存在し,夫婦の一方については按分割合が確定していたというケースです。夫婦のこれまでの様々な事情から,年金の保険料納付の寄与度が同じとすることが著しく不当といえるだけの事情があるかどうかについて,細かに事実関係を判断しています。ここで細かい次女に触れるのは避けますが,あくまでもこれまでの夫婦の中での家計の負担だけでなく,離婚調停での財産分与に関すること(この裁判例のケースは離婚調停終了後の年金分割に関する審判事件です)等様々な事情の総合評価がなされています。ですから,考慮される事情が様々あること・あくまでも著しく不当という事情という言葉にあるように按分割合の修正は相当限定的に考えられている点には注意が必要です。

 先ほど触れた裁判例では,按分割合は0.5を下回った判断が出されていますが,あくまでも様々な要素を考慮したうえです。修正されるべき要素があるかは,専門家に相談して整理してもらうのも一つの方法かもしれません。

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