法律のいろは

遺言書に書かれた内容が不明確な場合はどう考えていくのでしょうか(その①)

2015年7月24日 更新 

 遺言も公正証書遺言の他に,大きくいえば遺言をする方自身が記載をする例もそれなりにあるところです。いわゆる専門家が間に入っていない場合に作成された遺言に内容がどうなんだろうかと問題になる事柄がある場合に,そういった事柄がどういう意味なのかという解釈が問題になることがありうるところです。こういった場合は,どのように考えていくのでしょうか?

 こういった場合に,基本的にどのように考えていくのかという一般論についてはこれまでの裁判例からある程度の考え方が窺われるところです。こうしたケースで,遺言書に実際に書かれた事柄をベースにする点には問題はありません。問題となることは,実際に書かれた事柄以外の事情をどこまで解釈にあたって考慮できるのかという点・問題となる文言以外に遺言書全体の記載を考慮するのかという点す。

 裁判所の考え方の基本として,遺言書に実際に書かれた問題となる文言を形式的(書かれた通りの記載)からの未判断するということはしていません。問題となる文言以外の遺言書の他の記載内容やその記載との関連・遺言書に記載皿た内容以外に書かれた際の様々な事情の考慮をすることを念頭においています。その中には,遺言をした方が置かれた事情の考慮も念頭におかれているところです。それでは,そうした遺言書に実際に書かれた事柄以外の事情を無制限に考慮できるのかというと,裁判例の考え方は歯止めをかけるかのような判断をしています。あくまでも,上記の考慮は遺言をした方の最後の意思がどういうことであったのだろうかという点を解釈するという話になります。

 実際には不明確なものである場合には,記載の意味内容について利害を有する方(相続人あるいは遺贈を受けた受贈者)が事故に有利な解釈をお互いに主張しあい,対立が解消できない場合には遺言無効を前提とした裁判や解釈内容を前提とした請求裁判で行うこともありえます。その際には,先ほどの点を前提に解釈をしていきます。

 

 具体的なケースについては最高裁の事例で問題となったケースを中心に別のコラムでふれますが,裁判例の考え方を整理していくと,遺言の内容の解釈として,せっかく残された内容を可能な範囲では有効になるように(遺言が意味を持つように)解釈することを前提としています。遺言とは,当然書かれた内容が基本になることから,可能な限り,書かれた内容を前提に書かれた意味を考えていくことが解釈の姿勢とされています。書かれた内容から,きっとこうした内容を言いたいのだろうと考えられる場合には,遺言に実査に書かれたこと以外の話を考慮するのは避けるべきと考えられています。そうした言いたいことが遺言に実際に書かれた内容でははっきりとはしない場合にはじめて,実際に書かれた内容も踏まえてどういった事柄を言いたかったのかを考えていくことになります。

 こうした事柄が裁判例の整理からは言えるかと思われます。

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