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婚姻費用で考慮される事情(裁判例の紹介)

2015年8月14日 更新 

 婚姻費用を考える際には,基本的には算定式・算定表が中心に考えられるという点はこれまでに何度も紹介しました。今回は,夫婦で同居に至った期間が極めて少ないことや子供さんの出産の際に健康保険から支給される出産一時金がどのように考慮されるのかについて,裁判例を紹介したいと思います。

 問題となったケースでは,結婚以来一度も同居していない夫婦について,妻から請求された婚姻費用の支払いが問題となったものです。このケースでは,出産費用として夫から妻側にある程度の金額の支払いがなされており,その後子供の出産後に健康保険から出産一時金が支払われています。こうしたケースで,同居がなされることなく離婚が問題となっていることから,妻が有責にあたり婚姻費用の支払いに影響するか・出産一時金や出産費用として払った金額が婚姻費用についてどのように問題となるかが争点となったものです。

 第1審と第2審で判断が出されています。第1審では,こうした場合でも婚姻費用の支払い義務は算定表・算定式での金額を基本にすることを前提に,主に出産費用として支払った金額や出産一時金をどう考慮するのかについて判断をしています。ここでは,実際の出産費用のうち夫側の負担額を直接考えるか・出産一時金を差し引いて考えるかで,出産費用として夫の支払った金額が婚姻費用の先払いにあたりうる金額が相当変わってきます。たとえば,実際の出産費用が50万円・出産費用一時金が45万円・夫から支払われた金額が52万円であったと仮定します。ここで,出産一時金を差し引いて考えれば,(50万円ー45万円)=5万円から夫負担分(仮に半分としますと5万円÷2=2万5千円),婚姻費用の先払いが52万円ー2万5千円=49万5000円となります。差し引かないとすると,50万円÷2=25万円が夫の負担部分で,先払いは52万円-25万円=25万円となります。

 判断では,出産一時金は出産のための公的給付なのだから,実際の出産費用から先に差し引くべきであると判断しています。そのため,先ほどの家庭では49万5000円が婚姻費用の先払いという事になります。

 第2審では,第1審が破綻の原因が妻側に一方的にあるわけではないと述べているのに対し,別居による夫婦関係が破綻したともいえないし,妻側の述べる別居の理由が特別おかしいものではないこと等をあげて,婚姻費用の分担に影響を与えない旨述べています。ただし,同居しない経緯や理由などを総合的に考慮して判断すると述べていますので,事情によっては影響すること自体はあり得るという話だと考えられます。

 次回に続きます。

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