法律のいろは

長期間面会交流が実施されていない場合における面会交流の実施と頻度

2015年11月3日 更新 

 夫婦の離婚前後の様々な事情等から,面会交流が長く実施されないケースがあります。このこと自体の捉え方(面会交流を妨害された・子供が会いたく無かった等)は様々ですが,このようなケースでその後の面会交流を行うのか・行う場合にどのように行うのかは問題になると思われます。

 一つの考え方として,こうした場合こそ,親子のつながりを取り戻すために面会交流を積極的に行っていくべきだというものが挙げられます。反対の考え方として,長く面会交流が行われていない場合に,いきなり面会交流を行う・頻繁に面会交流を行うのは子供にとって負担が大きいから避けるべきだというものが挙げられます。どちらの考え方を重視するかはケースごとの事情にもよりますが,こうした点が問題になった裁判例を紹介します。

 問題となったケースは離婚を巡る争いの中で面会交流が1年を超えて行われなくなった状況で離婚が成立したものです。面会交流に関する調停や審判も行われていました。このケースでは別居後数回は面会交流が行われており,子供が相当に押さなかったもので,面会交流の開始時期を数年後にするべきか迅速に実施すべきか,その形や頻度をどうするのかが争点となりました。

 元夫婦の言い分の考え方は上で述べたものに近いものでしたが,裁判所は,次のとおり判断しています。まず,面会交流自体は子供の成長にとってマイナスとなる事情が認められない限り実施すべき・別居後できるだけ早い時期に面会交流は行うべきである・長く面会交流をしていない状況でいきなり頻繁に面会交流を行うのは子供への負担が大きいと述べています。そのうえで,段階を踏んで面会交流を行っていくために,段階的に時間と頻度を増やす形での面会交流を行うべきと判断しています。

 こうなると,どんなケースでも面会交流を早期にある程度の頻度へと近づけていくべきということになりますが,あまりにも子供への負担が大きいと問題なくいえる事情があれば話は変わってきます。また,夫婦間の対立葛藤が大きい場合には,信頼関係をどう築いていくのか非常に難しいと思われます。このケースでは,授業参観については葛藤が大きいため認められないと判断する等考慮はされる点です。また,このケースでは,既に何度か面会交流が問題なく行われていたという事情があり,この点をどう考えるかはケースごとの際に影響しうると思われます。

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