法律のいろは

妻との間に生まれた子どもが,実は自分の子どもでなかった場合の対応は何かあるのでしょうか(その⑥)?

2015年11月20日 更新 

 最近,法律上の親子関係がないことの確認を求める判決が出た(家庭裁判所の判断のようです)との記事を見ました。血縁上の親子関係と法律上の親子関係は,まどろっこしいようですが,違うことがあるという点は以前触れました。日本の制度上,結婚中に生まれた子供については,法律上の子供と推定される(ただし,結婚後一定の期間前まで及び離婚後の一定の期間経過後にに生まれた場合には,こうした推定が及びません)事になります。

 こうした推定が及ぶ場合には,法律上の親子関係を否定することが大きく制限されています。この記事の事実関係の詳細を知らないため何とも言えませんが,「親子関係不存在確認訴訟」というタイプの裁判等を起こせる場合はかなり限られています。

 「親子関係不存在確認訴訟」というタイプの裁判(あるいは調停)では,親子関係(通常は父子関係)が生物的に存在するかどうかが大きな問題となります。こうした裁判を起こすことが許されないようなケースもあるにはありますが,かなり限られた場合です。こうした裁判では,いわゆるdna鑑定が行われることが最近では相当多数ではないかと思われます。

 こうしたdna鑑定を行うには,問題となっている親子双方から鑑定に使うdnaが含まれる資料の提供を受ける必要があります。双方がこうした資料を提供することに同意をしている場合には問題はありませんが,一方が提供を拒否している場合に,提供を強制することは可能でしょうか?裁判では問題となるところです。

 結論から言えば,日本における現在の制度上は,こうした資料の提供を強制する手続きは存在しません[もっとも,ある場合には強制できるという考え方もあるようです)。同じことは親子関係に関する他の形(父を定める裁判・強制認知等)にも当てはまるところです。もちろん,強制はできないにしても,問題の解決のために提出を求めていくことにはなりますが,あくまでも拒否をする場合には,どのような結論を出していくのかは大きな問題となりうるところです。

 こうした場合には,他の方法で証明することを考える必要が出てきますが,提供拒否の姿勢というのは判断の一資料にはもちろんなりえます。他の証拠から親子の可能性が高いかどうかでdna鑑定等の必要性は変わってきます。

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