法律のいろは

親権や監護権を持たない方への子供の引き渡し請求

2015年12月5日 更新 

 つい最近,地方裁判所の判決という事ですが,父親側から起こされた子供の引き渡し請求(相手は,母親の親のようです)が認められたという判断が出たとのことです。問題となったケースの詳細を知るわけではありませんが,報道では親権と監護権は父親側が有していたとの記載がありました。今回は,一般論という事になりますが,親権を持つ親から現在子供を養育監護している親権を持たない方への子供の引き渡し請求について,触れたいと思います。

 子供の引き渡し請求のための手続きに関しては,以前詳しく触れました。仮に,親権を持つ親から,現在は子供のを養育監護している祖父母に対して引き渡しを求める場合は,どのような手続きによることになるのでしょうか?

 この手続きとしては,裁判例上,家庭裁判所の手続きではなく通常の民事裁判(地方裁判所に申し立てを行う)を起こすことになります。この裁判例(高等裁判所の裁判例です)に対しては批判もありますが,法律上の権限である親権に基づき,子供の引き渡し請求を求めていくことになります。以前触れた人身保護手続きに基づく請求も十分考えられるところではあります。

 この場合に,子供を事実上養育監護している側は,現状としては子供を養育監護しているものの,法律上の権限がないのだから,父母でない以上は養育監護するだけの適性が低いことを理由にすることになるでしょう。

 これに対する反論としては,子供を原状養育監護しており問題がない・別な環境に移すことが子供の成長にとってマイナスであるなどの反論がケースによってはありうるところとは思われます。

 緊急性が高い場合には,人身保護手続きの有効性が大きいと思われます。子供の養育監護権を誰が持っているのかがこの制度の使いやすさに反映している点が裁判例上ありますので,子供の親権を持っている側からすれば,この手続きを取ることを検討する意味は大きいでしょう。

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