法律のいろは

試用期間後に本採用拒否をされる場合は,どんな場合でしょうか?

2015年12月12日 更新 

 正社員として会社に採用されると,試用期間というのがあります。この期間は,お試しの時期なのだから,本採用をするかどうかは会社側の意向が強く働きそうだという反面,普通そんなことはないのではという気もするかもしれません。小さな会社では,せっかく採用(入社)したけれども,という事であれば会社へのダメージは大きいことと思われます。もちろん,働く側からもそんなことでは生活できないという事になりかねません。

 試用期間といっても,既にこの時期には雇用契約(会社と従業員の方の契約)は始まっています。その意味では,よく言われるところの解雇に関する法律の規制は及ぶことにはなります。ただし,それでは試用期間と本採用の後は何が違うのかという事になってきます。もちろん,違いはあります。裁判例によると,この試用期間には雇用契約を解約する権利が留保されていると判断されています。ここでいう解約権が留保されているというのは,本採用を会社側が拒むことで雇用契約を終わらせることが契約にセットされているという事になります。この解約権を使う事には制約がありますが,本採用後の解雇に比べれば緩やかに判断されています。

 そうはいっても,限界はあります。裁判例の言葉を借りれば,採用が決まった後・試用期間が終わるまでの間に,採用を決める際には普通分からないだろう事柄が判明し,その事柄からは引き続き雇用することが適当でないと判断される必要があるとのことになります。やや分かりにくいですが,本採用を拒むだけの事情が必要という事になります。

 入社後に,仕事ができない・周りに迷惑をかける等の事柄が分かり辞めてもらいたいという方が職場に出てくるかもしれません。これだけで本採用拒否ができるかというと,そう簡単にはいかないでしょう。短い試用期間内で,こうした事柄で本採用拒否に至るというのであれば,そもそもなぜ採用したのかというレベルの話になりかねませんし,ある程度改善の機会が与えられる必要はあるように考えられます。

 このように,試用期間後の本採用を拒否されるという事はやはりハードルはそれなりに高くはなっていきます。

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