法律のいろは

会社の備品などを壊した場合に,弁償はどこまでするべきなのでしょうか(その①)?

2015年12月21日 更新 

 勤務中に会社の備品(パソコンや社用車を壊した)・商品を破損させた場合に,全額賠償するよう言われてしまった,賠償義務は壊したのだから当然あるだろうと思うところでしょう。その金額が大きいと,どうすればいいのだろうかと不安になるところと思われます。この場合に,どういった問題があるのでしょうか?

 仮に,予めこうした壊すようなことがあった場合には,「全額賠償をする」「50万円を支払う」等と言ったことが就業規則や契約で決められている・給料から毎月5万円ずつ天引きされる,こう知った場合に,仕方がないなという話に当然になるのかが一つ目の問題点です。パッと考えてみて,壊したのは自分に落ち度があるのだから仕方がないという気もするかもしれません。

 しかし,法律上,就業規則や雇用契約で,損害賠償の予定をすることは禁止されています。「全額賠償する」「50万円を支払う」というのは,損害賠償について予め着ておくことですから,こうした定めを置くことは違法な話となります。そもそも,どこまで損害賠償をしないといけないのかという問題がありますが,それはこの後で触れたいと思います。

 また,毎月給料から天引きをすることも法律上問題が出てきます。法律上,給料は 通貨で・全額支払うこととされており,これに反する天引きは許されません。ここでいう天引きは,会社側から一方的に行うことを指します。それでは,勤務している方に給料と賠償額を相殺する書類に一筆書いてもらえばいいのではないか(裏を返せば,そうした書類があれば終わりか)という点も問題になります。

 これが自由にできるのであれば,書類を書かせて相殺の形をとれば実際には天引きと変わらないことが自由に行えかねません。そうしたことから,裁判例上,従業員の方が自発的な意思で相殺をしたと認められる客観的な事情が要求されています。これは単に書類があればいいというだけではなく,自らの意向で相殺という形をとるように依頼したといえるだけの事情を要求するものと考えられます。

 ですから,そう簡単に書類があれば終わりという話にもなりません。次回は,そもそもどこまでの損害賠償義務を従業員の方が負うのかという話を触れたいと思います。

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