法律のいろは

相当短い別居期間で,有責配偶者(不倫・不貞をした側)からの離婚請求を認めたケース

2016年1月13日 更新 

 一般に,不倫・不貞をした側(有責配偶者)からの離婚請求は認められ難いとされています。比較的最近,かなり短い別居期間で離婚性きゅを認めた裁判例が出てきましたので,紹介をします。

 問題となったケースは,結婚から20年近くが経過し,16歳と14歳の子供がいました。別居から離婚裁判の判決までは2年に満たないものです。不倫・不貞をした側が単身赴任で家を出た後,その相手方と同居し,その後離婚に向けた話し合いをしていました。その間,不倫をされた側が家の鍵を勝手にかえたことで,別居に至ったというケースです。

 このケースで,離婚を求めた側は,相手方配偶者がずさんに家計管理をし,自分の名前でかなりの借金をしたこと等や勝手に家の鍵を替えたことで別居に至ったことを主張しています。要は,夫婦関係は破綻していて,その原因は相手方配偶者にあるというものです。

 裁判所は,夫婦の関係が破綻していると判断し,そのうえで,有責配偶者側からの離婚請求を認めても,信義に反しないかどうかを判断しています。一般に,別居期間の長さ(そもそもの長さ,同居期間と比べての長さ)・自立できない子供の有無・経済面などから見て,今離婚請求を認めると,相手方配偶者にとって過酷かどうか等から信義に反するかが検討されているように思われます。

 この裁判例では,
 ・別居期間は短いものの,その原因は相手方配偶者が勝手に鍵を替えたことで生じた
 ・子供は自立できない年齢だが,比較的成長した年齢である
 ・不貞をした側が,相手方配偶者が名義借りをした借金を支払い,収入に比べると多くの生活費を払っている
 ・相手方配偶者は,子供の年齢からしても働けるはずで,家計の圧縮が可能である

 等の点を挙げ,下の2点は相手方配偶者にとって今離婚を認めても過酷とは言えない事情として考慮し,離婚請求を認めても信義に反しないと判断しています。

 このケースでは,破綻や別居に至った相手方配偶者の責任の程度を相当考慮していると思われます。不倫・不貞に至ったのは相手方にも原因があるという言い分はよくあるものと考えられますが,その程度がここでいうものと比べてどの程度なのか・考慮されるか等の検討は必要でしょう。また,離婚を求めた側が相当な経済的な援助などをしていること等も考慮しているものと考えられます。

 単に別居期間の長さだけで判断されたわけではない点で,意義はある裁判例と思われますが,ハードルが低いわけではない点には注意が必要でしょう。
 

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