法律のいろは

相続と口座からのお金の引き出し(その⑦)

2016年4月10日 更新 

 亡くなった方の名義である口座からの「使途不明金」について前回触れました。ここでの話は「使途不明金」への対応の話などでしたが,そもそも通帳が途中で切り替わっていて問題となる時期の履歴が存在しない・通帳を紛失したという場合はどうすればいいのでしょうか?

                                                                   結論から言えば,その口座の取引履歴を取り寄せればいいでしょう。こうした取引履歴は裁判例上,相続人であれば一人でも取り寄せることができます。取引履歴の開示には,どこの金融機関であったのか等そもそも取り寄せをどこからするのか等の話があります。どこかに口座があったのだと思うのだけれども,分からないという場合には限界が出てきかねません。

                                                                   こうして,問題となっている口座の取引履歴を取り寄せてみて,「使途不明金」が存在するのかをチェックしていきます。その際には,引き出しただろう相手が,問題となっている時期にその口座の通帳などを管理していたこと・引き出しをしたのが相手であるという点の確証も必要な点には注意が必要です。

                                                                    以前触れた点ですありますが,亡くなった方以外の方が引き出した「使途不明金」といえるためには,確認や追及をする相手の反論を想定する必要があります。全く管理に関わっていない・引き出していないというのであれば,そういった確認や追及に限界が出てきます。

                                                                      実際に,いつごろから相手方が通帳などの管理を行っていたのか・お金の引き出しを亡くなった方が行える状況だったのかという点の確認は重要なポイントの一つとなります。そのうえで前回触れたような,本人の委任を受けた・本人にかかった費用である・本人から渡されたものである等の反論が出てくるのかどうか,それに梨湯がありそうなのか等を考えていくことになります。管理が必要になるだけの亡くなった方の状況であったのかも重要です。体調や生活状況(例えば,老人ホームなどに入居をした・相手方の家で面倒を見るようになった・認知症などの症状が出ていた,その他病気などの状況)がどうであったのかを整理しておく(資料があればその整理も含む。いつ・どこの病院や施設・介護サービスを利用していたのか等も含みます)必要もあるでしょう。

                                                                    よく分からないという場合もあるかもしれません。その場合は,弁護士等の専門家に相談してみるのも一つの方法だと思われます。相続財産がどの程度あるのかわからない場合には,こうした取引履歴の調査に加え,そもそもどのような財産があったのかどうかの調査も必要となります。

                                                                    このように,実際に「使途不明金」があったのかどうかの確認も重要かつ煩雑な面があります。

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