2016年5月24日 更新
お金(債権)の回収問題、不動産の法律問題、契約関係、婚姻費用(生活費)、婚約・内縁、子ども、熟年離婚、男性から見た離婚問題、離婚からの修復、離婚問題
たとえば,元から自分が借りている家から,自分のみが家を出たような場合には,家にいる方の家賃をすべて負担していることになります。このほかにも,相手が家を借りられないからということで代わりに賃借人になりかつ家賃を払っている場合にも同じようなことが言えるでしょう。こうした場合に,相手方から婚姻費用を請求された場合に,支払っている家賃はどんな影響があるのでしょうか?
もちろん,影響というのは婚姻費用の金額(厳密には,家賃の負担以外にいくら支払うのか)に関してです。住宅ローンの場合とは異なった考慮が必要になります。それは,借りている家の家賃の負担というのは,全額が住居費に当たるという点です。
婚姻費用を決めるにあたっては,住居費や食費など様々な生活にかかる費用の負担をするということですから,そのうちの住居費をすべて負担しているのであれば,大きく考慮されないといけないという点が出てきます。住宅ローンと何が違うのかといえば,住宅ローンは買った家のお金を支払っているもので,財産である家を完全に自分のものにするための費用という側面が強くあります。純粋に家の住居費とはいえない面が強いということころです。
また,借りている家についても転居するには引っ越し費用や新しい家(借家)の家賃や敷金,仲介手数料などがかかります。それでも住宅ローン付きの家に比べれば,転居するのがまだ簡単ということができるでしょう。そのため,家賃を全額負担している場合には,通常はその金額がすべて負担済みということで差し引かれないとおかしいですし,それは不合理という場合でも大きく差し引かれるべきだと考えられます。
そのため,婚姻費用の支払いを求められている側からすれば,相手方の家賃をすべて負担している場合には大きく考慮すべきだという反論をしていくことになるでしょう。ただし,収入からいわゆる算定表で考えて4万円の婚姻費用なのに,家賃を8万円負担しているからこれ以上の負担はできないというケースで,逆に4万円を支払えという点に合理性があるかと言われれば問題点もあります。
このケースでは,衣食住という生活の要素の中で住むということすら満足にできない(金額が足りない)ということになりかねません。こうした場合にまで家賃をすべて考慮すべきという言い分は家庭裁判所の調停などではさすがに難しい面も出てきます。あくまでもケースごとの事情によって,相手の家賃を支払っている点は考慮は大きくはされますが,必ず全額考慮されるわけではありません。こうした点も考慮したうえで,どのような対応が必要かは専門家と相談するなりして考えていく必要があります。
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