法律のいろは

不貞行為と子供の親権者は誰になるのかという問題(その④)

2017年5月15日 更新 

 以前,不倫・不貞があった場合に,このことが子供の親権者の問題にどのような影響を受けるのかという問題を触れました。前提として,不倫・不貞行為があったことで,夫婦のどちらか(どちらとも)が離婚を考える場合になります。これは,不倫・不貞行為をした側が離婚をしていくという場合・不倫,不貞行為をされた側が親権と離婚を問題にするという場合の双方が考えられます。

 

 以前の話は,妻側が子供の世話をこれまで日中などしてきた・妻側が不倫,不貞行為を行ってしまったという話を前提にしてきた場面も触れています。今回はその続きを触れていきます。こうした場合に,妻側が離婚をして再婚をしたいと考えた場合に,子供たちの親権者になりたいと主張するかどうかは,その方の置かれた状況や希望に寄ることになると思われます。完全に新しい家庭ということであれば,親権を主張しないこともありえます。子供とともにという考え方があれば親権の主張をするかもしれません。

 こうした場合に大きな紛争の種を抱えるのは後者であると考えられます。再婚をして血縁のない方と生活をして大丈夫かという不安や不倫・不貞行為をされたという不満など様々原因はあり得るところです。この場合に,不倫・不貞行為をしたからといって当然に親権者としてふさわしくないということにはならないということが以前触れました。

 あくまでも,子供にとって誰が世話をするのかが好ましいかというのは,現状の監護状態と問題の有無や以前の背をしてきたのは主にだれかという点のほかに様々な要素から考えられます。パート形態を含め子供と関わる時間が女性側が多いのであれば,主に面倒を見てきたのは女性側になる可能性があります。もちろん,男性側の関与の程度が大きいかどうかも重要な要素となりえます。

 こうした要素は不倫・不貞行為をしたかどうかと必ずしも一致はしません。そうはいっても,不倫・不貞行為の相手方と会うために家を空けている・子供をないがしろにするなどの事情があれば話は変わってきます。そうしたことを示す言動があるかどうかが,子供を世話をする意欲意思があるかどうかの一つの根拠となる可能性のある事情です。こうした点は言った言わないの話になる可能性もありますから,そうした言動があったという証拠があるかどうかは重要になってきます。

 

 また,夫側が離婚を拒む場合には,こうしたケースでは妻側が「有責配偶者」と呼ばれる離婚請求が相当高いハードルに阻まれる可能性が出てきます。そのため,離婚はできないものの,事実上別居している等の事情が存在することになりかねません。こうした事情がいいのか否かはよく考える必要はあります。いずれにしても,妻側が不倫・不貞をした場合では,問題なく離婚と親権を確保したいという願望を持っても大きなハードルがある点は注目をしておいた方がいいでしょう。

 不倫・不貞行為の存在やその証拠(離婚請求や慰謝料請求の証拠になるもの)と子供の親権を誰が取るのが好ましいかという点の根拠資料が異なる可能性が相当ある点もよく把握しておく必要があります。

 次回に続きます。

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