法律のいろは

再婚をした後の相続の問題(その②)

2017年6月25日 更新 

 前回は,再婚をした後に,離婚前の子供との関係で相続問題などがどうなるかを触れました。今回は,再婚の際に連れ子が相手方にいた場合の話を触れます。なお,ご自身に連れ子がいる場合には,当然に法律上の親子関係がありますから,扶養義務はもちろん相続の話は生じます。

 

 まず,相手方に連れ子がいる場合に,その連れ子との間には再婚をしても法律上の親子関係は生じません。法律上親子関係が生じるようにするには養子縁組する必要があります。この場合には,通常と比べれば手続きが容易な面はあります。これによって扶養義務も生じますので,その連れ子が未成年の間には前婚での親からの養育費をもらうことは難しくなります。これは養子縁組による扶養義務が優先するためです。

 養子縁組をすることで,前回も触れた点ではありますが,将来以前の結婚の際に生まれた子供も含めて相続人になることになります。もちろん,再婚後の配偶者もご自身がなくなる際に生きていれば相続人になります。こうした場合に,前の結婚で生まれた子供に遺産相続をさせたくないと考えた場合に遺言が対応策の一つで圧というのは前回触れました。

 

 次に,逆に養子にしている子供との関係が悪化した(とご自身が考える)場合はどうするのでしょうか?再婚相手が亡くなった後に関係が疎縁化することはあるかもしれません。この場合でも養子縁組をした連れ子は相続人となります。この場合に,養子縁組をした連れ子に相続をさせたくないと考えるのであれば,先ほどと同じく遺言で対応をする(ただし,以前も触れましたが遺留分減殺請求・遺留分侵害請求ということで遺言でも対応が十分にできない範囲は生じることがあり得ます)方法が考えられます。

 このほかに,そもそも相続人から外す・親子関係を解消するという方法が考えられます。ちなみに,法律上は親子関係でも「相続人の排除」という方法も考えられますが,ハードルが高くそう簡単には使える方法とは考えられません。ここでのハードルとは,その子にご自身に対する重大な侮辱と評価できる言動がある・著しい飛行があるなど人的な信頼関係を破壊したものと評価できる事柄が必要になります。ご自身の生きている間・遺言で行うことが可能ですが,どちらにしても家庭裁判所への申したが必要になり(遺言の場合には相続開始後),家庭裁判所での判断がなされることになります。話を戻しますが,親子関係の解消は養子縁組の離縁というものです。ここでは,連れ子が成人した後の話でかつ普通養子縁組の場合を前提としますが,連れ子とご自身が同意をすれば離縁届を役所に提出をすることで離縁をすることができます。

 連れ子との間で話し合いができない・話し合いがつかない場合には,家庭裁判所に離縁の調停を申し立てることになります。なお,話し合いができないという理由が連れ子が行方不明で調査をしても住所地に住んでもいないという場合には,状況によって最初から離縁の裁判を起こすことができる場合もあります。この辺は弁護士など専門家に相談して対応を考えた方がいいでしょう。

 離縁の調停でも話し合いがつかない場合には,離縁の裁判を起こすことになります。ここでは,話し合い解決の可能性もありますが,法律で定める離縁の理由が事実面を認定して認められるかが大きく問題となります。代表的な理由は,親子関係が形骸化するなど縁組を継続しがたい重大な事由であると考えられますが,これまでの関係からそのように言えるのかがポイントとなります。ただ,既に話し合いも不可能な状況や疎遠で行き来が長年ないケースでは該当する可能性が高くなります。養子縁組の離縁を選ぶか相続人の排除(こちらも話し合いにより離縁ができない場合に使うことがありえるでしょう)を選ぶかを考えることになります。

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