法律のいろは

多額の債務がある・債務超過の場合に自宅や重要な財産を引き継がせる方法と注意点(生前贈与・相続放棄・限定承認の活用と注意点)

2017年9月18日 更新 

  賃貸物件は持っているが減収が続き負債と抵当権がついている・債務超過の状態だけれども,自宅や事業用資産を引き継がせたいという希望があるかもしれません。生前対策や相続開始後の対応はありますが,それぞれ注意点がありますし,場面によって何がよく・問題がありうるのかを注意する必要があります。

 

 まず,生前贈与で,自宅などを特定の相続人に贈与をするという方法が考えられます(ここではその不動産などに抵当権などの担保がついていないことが前提となります)。相続開始より3年よりも前のものであれば贈与税の対象になりますが,税負担が重くなる可能性はあります(軽減の特例はあります)。負債を負っている方の財産から切り離すことができるというのは一見メリットのように見えますが,債権者側からすると勝手にこうした方策をとられると回収が大きく減る可能性があります。そのため,贈与税の負担を軽減することを考えるほかに,債権者側の対応での注意点があるかが問題になります。

 ここでの問題は詐害行為として生前贈与が取り消されるか(取り消されると,生前贈与後に他に譲渡している場合はおいておくとして,生前贈与をした意味が失われます)という話です。詐害行為取り消しとは,ここでの話に即して言えば,債務超過や支払いが厳しいことを認識して,回収の対象となる財産を流出させる行為を事後に否定する制度です。生前贈与後にさらに譲渡がなされていた場合には,場合によっては譲渡を受けた側が財産のお金を支払う必要が出ることもあります。自宅や事業用財産を移す場合はその後の売却は想定はできませんので,単位贈与の意味が失われる可能性があることになります。贈与税について,相続時精算課税制度を使って負担を軽くするなどの考えも出てきそうですが,税務負担だけでなく法務リスクの意識も必要になってきます。常にこの制度の適用を受ける場合に当たるとは限りませんが,負債が多い場合には可能性があるものとして頭に置いておく必要はあります。

 

 次に相続開始後の対応としては,相続放棄をする・限定承認をするというものがあります。相続放棄日手です。ここでは相続人全員が相続放棄をお子に相続人がいないという扱いにさせる→相続財産管理人の選任を申し立てる→相続財産管理人による清算手続きの中で,自宅や事業用財産などを買い取るということが考えられます。清算手続きの中であれば,その自宅なり事業用財産の評価分のお金を払えば買い取れることになるので余計な負担(それまで存在した負債の負担)を負わないで済むというメリットがあります。ただし,相続財産管理人は一番有利な条件で売却を考えることになるので,他にお金を出して買ってもいいという不動産などである場合には必ずしも買い取れないリスクが出てきます。事業用財産に高値で買うメリットがあるのか・今人が住んでいる家を高値を出すメリットがあるのかは難しい問題ですが,立地その他でいい物件などの場合にはリスクの考慮も必要でしょう。

 

 続いて,限定承認です。この制度は相続財産の限度で負債の支払い負担を負うという制度です。また,相続人に引き継がれた負債を対象に,範囲を限定された相続財産による清算を行う手続きになります。すべての相続人が一緒に限定承認の手続きを行う必要がある(相続放棄をした方は別)・清算手続きがあり煩雑である・所得税の負担も生じる等の点もあってあまり使われていません。特に所得税の負担については相続税の課税の可能性の問題とは別に,相続財産を時価で被相続人→相続人に譲ったものとして所得税の課税(被相続人の納付義務を相続人が引き継ぐ)ことになります。取得費等の状況によってはこちらも税負担が生じかねません。

 実際に,自宅や事業用資産の確保をどうするのかという点については,引き継ぐ相続人が買い取ることで確保を図ることができます。先ほどの相続放棄とその後の相続財産管理における清算との違いついていえば,家庭裁判所の側の評価額(厳密には選任した鑑定人がつけた評価額)を支払うことで清算手続きから外して取得売ることが可能になります。言い換えれば,他の方の購入機会を設ける前に先に買い取ることが可能であるという点です。先ほどの税金の負担が生じるかどうかはケースバイケースですが,あくまでも税負担も引き継ぐ負債の範囲に含まれる(元々は被相続人の負債)なので,債務超過の場合には負担が大きく増えるということはないでしょう。この手続きを用いる場合には,手続きにかかる費用や清算のための手間がかかりますが,先に購入できる機会が設けられるという点がメリットにはなりえます。

 

 場面や容共によりどの制度を使うのがいいかをきちんと考えておく必要があります。

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