法律のいろは

「空き家」になっている実家をそのままにしておくことで発生する問題(その①)

2017年12月4日 更新 

 近年,空き家関係に関する法律ができるとともに,役所においても「空き家」対策を担当する部署ができています。「空き家」というと街中・田舎問わずに発生しますし,一軒家・マンションの一室でも発生しうるところです。一方で,「空き家」のイメージというと,田舎の実家というところが多いのではないでしょうか?

 特に,町中に住んでいる場合には,実家の土地建物が売るに売れない,しかし,建物等に何かあった場合にリスクを抱えたくない等の所があるところです。今回は,リスクについて少し触れていきます。

 

 まず,建物がケアされずに時間が経過することで生じる問題としては,建物の老朽化が進み,倒壊の危険性が出てきた場合が考えられます。隣接する個所にも特に何もなければ問題が大きくならないことも考えられますが,隣接するところに家がある場合には,隣の方の財産やケガなどの事故が起きた際の問題が出てきかねません。そうした問題があるところから,こうした問題が起きないように事前に対応を求められることもありうるでしょう。

 たとえば,隣の家の方から,普段はいかない実家が倒壊しそうになっているから修理するなりして対応をしてほしいと言われた場合に,対応する義務が出てくるのでしょうか?

 実家は隣の家の所有するところではないため,口出しされるのはおかしいという反面(ここでは,隣の方に迷惑をかけてはいけないという道徳的な話は置いておきます),隣の家だからといって自分の土地の利用その他への障害起きる場合に何もできないのはおかしいではないかという考え方が成り立ってくるところです。

 

 こうした場合に,隣の家から修理をするなどの対応を求める権利は法律上では明確には定められてはいません。しかし,裁判例などで,自らの所有物の利用等を妨げる事情が出てきた際にそれを防ぐための措置を求めることが認められています(妨害予防請求権と呼ばれるものです)。もちろん,こうした妨げる事情は客観的に生じている(隣の家の方が思うものの,他の方が見るとそこまでは言えないケースでは認められなくなります)ことが必要です。また,あくまで妨げる要因を取り除く範囲での対応を求めることができるにすぎません。

 たとえば,実家の建物が傾いていき,隣の家に触れてしまう程度に傾いている場合には,さらに傾くことで隣の家の建物に損傷を与える等の可能性が高くなります。この場合には,補修などで対応をする必要が出てきます。何もせずに対応をしない場合には,裁判などで対応するよう求められる可能性もあります。

 

 そもそも,こうした場合には空き家対策特別措置法という法律によって行政から修繕などの指導などを受ける可能性が高くなってきます。空き家対策特別措置法という法律は別途触れる予定です。

 

 このように,「空き家」を放置しておくことのリスクは様々ありうるところです。次回に続きます。

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